映画レビューでやす

年間500本以上観る会社員のありのままのレビュー

邦画:人間ドラマ

「洗骨」 ★★★★ 4.2

◆骨を洗うことは自分自身を洗い出して向き合うこと、笑って泣けるゴリゴリのヒューマンドラマ、命のおわりとはじまり自分のルーツ「祖先とは今を生きる私たちなのだ」 照屋年之監督=ガレッジセールのゴリ監督ならではの、沖縄愛にあふれる笑って泣ける見事…

「僕はイエス様が嫌い」 ★★★★ 4.2

◆「神様ヘルプ!」「SAY YES!」神の不在を日本の子どもの視点から描く、世界は残酷で神様は何もしないが何かを信じることは素晴らしい、障子の穴から見えるものは? 若干22歳の新人・奥山大史監督が青山学院大学に在学中に作られた超低予算の76分というデビ…

「旅のおわり 世界のはじまり」 ★★★★ 4.1

◆異国情緒での愛の参加、郷に入って郷に従わず海外旅行あるある「世界ふしぎ発見」「イッテQ」の撮影舞台裏、ミステリーハンターあっちゃんが辿り着いた世界とは? テレビ番組の撮影で異国の地ウズベキスタンを迷いながら自分と向き合っていくロードムービー…

「火口のふたり」 ★★★★ 4.2

◆食べて寝てセックスするだけの人間三大欲求解放映画、明日終わるかもしれないふたりだけの世界で、自分の心と身体は誰とどこで何をして生・性したいのか問いかけてみる 登場人物は男女二人(柄本祐と瀧内公美)のみで、ひたすら食べて話してセックスするの…

「Fukushima 50」 ★★★★ 4.2

◆事件は現場で起きているんだ、まだ過去ではなく続いているんだ、復興オリンピックの延期のようにこの物語も終わってない、慢心・想定外の言葉を繰り返さないために! 東日本大震災に伴う福島第一原子力発電所の事故、メルトダウンによる大惨事を防ごうと現…

「37 セカンズ」 ★★★★☆ 4.7

◆障害者本人が演じるリアルな生と性と愛と自由をフラットに描く NEOカッコいい一人の少女の冒険青春物語「自分が自分で良かった」HIKARIあふれる人生を肯定すること 2019年ベルリン映画祭パノラマ部門で観客賞と国際アートシネマ連盟賞をダブル受賞し、その…

「ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん 劇場版」 ★★★☆ 3.9

◆娯楽を超えたゲームの力よ! ゲイマーおっさんずラブの吉田鋼太郎の魅力が光輝く、不器用親子の絆とオンラインゲームあるあるに笑って泣いてやりたくなるぴょん! 「ファイナルファンタジー」のオンラインゲームを通して父との絆を取り戻していく親子の話で…

「カランコエの花」 ★★★★☆ 4.7

◆カランコエの花ことば「おおらかな心」で「あなたを守る」ことで「たくさんの小さな思い出」を作り「幸福を告げる」、「守る」とはどういうことか?最高の教材映画 とある高校2年生のクラスで、代理の保健教師が突然「LGBTについて」の授業を行ったことから…

「ひとよ」 ★★★★ 4.3

◆「デラべっぴん」と共に復刻する壊れた家族の「ひ・と・よ」一つの夜、一人の夜、人の夜、人の世、人よ、不器用な親子4人のぶつかり愛と想いをタクシた演技は必見 当たり外れを交互に撮っている感のある白石和彌監督の今年3作目、「麻雀放浪記2020」駄作⇒…

「半世界」 ★★★★ 4.2

◆「あれから僕たちは何かを信じてこれたかな♩」、世界は一つでもあり個人だけの世界の集合体でもあり、二等辺三角形じゃない正三角形なんだ不器用な男たちの半世界 三重の南伊勢を舞台に家業を継いだ炭火焼職人の紘(稲垣吾郎)と光彦(渋川清彦)のところに…

「真実」 ★★★★☆ 4.5

◆人生は映画であり自分自身で主人公を演じることが「真実」なのか?、嘘は真実を隠し真実は自分の弱さをさらけ出す、家族だからこそ言えない自分だけの真実の物語・・ 是枝裕和監督のフランス映画、国民的大女優ファビエンヌが自伝本である「真実」を出版、…

「蜜蜂と遠雷」 ★★★★☆ 4.6

◆「世界は音楽に溢れている、世界が鳴っている、音を外に連れ出す」演奏シーンと音だけで物語を魅せる新しい音楽映画の傑作、天才たちの共鳴・バタフライエフェクト 直木賞と本屋大賞をダブル受賞し映像化困難と言われていた恩田陸のベストセラー小説を「愚…

「宮本から君へ」 ★★★★★ 5.0

◆喜怒哀楽あらゆる感情を揺さぶられ続け、全身全霊で生きることを肯定する人間賛歌!この混沌とした時代を殴り飛ばす宮本と観客との果たし合い、池松壮亮と蒼井優の演技を超えた愛のむき出しに真っ赤な薔薇の花束を! 新井英樹の傑作マンガを「ディストラク…

「夜明け」 ★★★★ 4.1

◆是枝・西川イズムの継承、人は誰かの代わりとして生きていけるのか、過去と今と向き合うことから逃げていて夜明けは来るのか・・柳楽優弥の語らぬ演技は必見! 是枝裕和、西川美和監督たちが設立した製作者集団「分福」の広瀬奈々子監督のデビュー作、両監…

「十年 Ten Years Japan」 ★★★☆ 3.8

◆世にも奇妙な未来物語、10年後の日本はディストピアかユートピアか?美しい国とは誰かが犠牲になるものなのか、生まれ来る子供たちのために出来るのは今を生きること 2015年公開の5本の短編からなる香港映画「十年」、中国の支配が強まる香港社会を予言した…

「クソ野郎と美しき世界」 ★★ 2.2

◆逃走→喪失→再生、現実と映画が入り混じる世にも奇妙な3人の人生物語、映画としてはクソ野郎だが「新しい地図」の決意表明を兼ねた自主製作PVとしては美しき世界 元SMAP「新しい地図」の3人がチャレンジした再始動オムニバス映画、園子温、山内ケンジ、…

「こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話」 ★★ 2.4

◆わがまま・何様・お互い様! 生きるということは迷惑をかけ合うこと、「キスして欲しい:生きているのが素晴らし過ぎる♩」、美談過ぎるが大泉洋ならではの演技は見事 徐々に体中の筋肉が弱っていく筋ジストロフィー患者の命がけのワガママを描いた実話、悲…

「凪待ち」 ★★★★ 4.4

◆クズの郁男と香取慎吾と被災地のトリプルミーニング、新しい地図の上で「凪待ち」からの再スタート、ゲロるとミステリーではないので注意を・・ 東日本大震災の傷跡が残る石巻を舞台に、ギャンブル依存症で人生のどん底にいるクズの郁男が、喪失感にのたう…

「長いお別れ」 ★★★★ 4.4

◆人生はメリーゴーランド、家族の絆は世代を超えて回り続ける、忘れても残るもの・新しく生まれるもの、キャスト4人の演技は必見! 「湯を沸かすほどの熱い愛」の中野量太監督待望の新作は、オリジナル脚本ではなく直木賞作家・中島京子の小説を元に、認知…

「億男」 ★★ 2.2

◆キャラは濃いが話はお札のように薄っぺらいカード会社のCMレベル、一円玉と一万円札は同じ1g、お金や幸せの価値とは?「プライスレス」 映画プロデューサー・川村元気の同名ベストセラー小説(未読)を「るろうに剣心」の大友啓史監督が映画化。 兄が残…

「教誨師」 ★★★★☆ 4.7

◆大杉漣さんからの遺言が心に響く、圧巻の演技陣による会話劇、死刑囚への救いとは?「生きてるから生きるんです!」 大杉漣さんの遺作であり最初で最後のプロデュース作品。物語の9割は教誨師・佐伯が死刑囚と対話をする部屋の中のみで、BGMや派手な効…

「コーヒーが冷めないうちに」 ★ 1.2

◆【酷評注意】酷い出来に「4回泣けます」、2回じゃダメなんですか? 怒りが冷めないうちにタイムリープして見なかったことにできるかな・・ 本屋大賞2017の候補になるなど川口俊和のベストセラー小説とその続編を基にしたファンタジーテイストの人間ドラマ…

「ハナレイ・ベイ」 ★★★☆ 3.6

◆10年かけて受け入れるということ、ハワイの美しい風景と波の音を感じる静かな心象風景が頭からハナレイ・ナイ 村上春樹の2005年の短編小説集「東京奇譚集」に収録された小説を「トイレのピエタ」の松永大司監督が映画化。村上春樹の言語化された心情を映像…

「岬の兄妹」 ★★★★☆ 4.8

◆タブーを吹き飛ばす問題/衝撃作、胸クソ悪い現実にフン詰まりの貧困さ、必死でフン張り生きることへの人生賛歌! 障害、差別、失業、貧困、売春、犯罪、絶対にメジャー映画ではできないタブーな題材に挑んだ問題作、内容的には今年一番の衝撃作となるはず。…

「デイアンドナイト」 ★★★★☆ 4.7

◆「善と悪はどこからやってくるのか」、大切な人を守るための正義とは?究極の問いを突き付けられる、とにかく清原果耶は必見! 内部告発をした父親が自殺に追い込まれ、その真相を探り復讐を果たそうとする青年が、答えのない善悪の深淵に飲み込まれていく…

人間ドラマ