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「フォルトゥナの瞳」 ★★ 2.0

◆フォルト(fault=失敗)の瞳でつまらない爆死が透けて見えた・・英雄(au)出来杉くんを惑わすかぐや姫はズルい女「なぜ来ない あんたは~ Bye-Bye ありがとう さようなら 愛しい恋人よ♪」

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「死を目前にした人間が透けて見える能力」=「フォルトゥナの瞳」を持った青年が、苦悩しながらも大事な人を守るため自身の運命に立ち向かう姿を描いた物語。「永遠のゼロ」「海賊とよばれた男」などのベストセラー作家・百田尚樹の原作を映画化(こんなジャンルも書くのか・・顔は関係ないけど)。

監督は「僕等がいた」「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」の三木孝浩監督なので、若い人向け胸キュン必須なのは間違いない。初の恋愛ものの神木隆之介と相変わらず可愛すぎる有村架純カップル、これだけで好きな人には堪らないはず、出会いがauショップなだけに完全に高杉くんとかぐや姫の再現(ポスターの二人はコンタクトレンズのCMのようだが)。三木監督だけにカップルをかわいく素敵に魅せるのはさすが、映像も全体的に綺麗なトーンで統一されていて、光の取り入れ方も2人の運命の明暗を分けていたりして上手かった。

話としては、先の読める展開で正直そのまま予想通り、エピソードや設定が安易過ぎてオチへの展開のため動いてる感じで、良く言えば分かりやすくそつなく作られた凡作。ファンタジーなので細かいとこ気にしてはダメだと思いつつ、ツッコミどころ満載過ぎるのと最初の方でオチに気づいてイライラしながら見ていたので、純粋な世界には入り込めなかった。。2人の華やかさと演技で何とか持ちこたえていたのが本音。でも、普通に素直に観られる人はラストに向け泣けるように作られているので安心して下さい。

相手を思うがゆえに伝えられない切ないお互いの想い、大事な人を救うための選択など、ほんの少しだけ「天気の子」と似ているところもあり、「愛にできることはまだあるかい♪」が頭の中に流れてきた・・果たして他人の運命を勝手に変えてはいけないのかどうか?

わき役だけど、志尊淳がいつものカワイイキャラを封じてキレやすいヤンキー役、DAIGOが女性を悪の道に落とすクズ役、と普段とは違った意外性のある役を見事に演じていたのが印象的だった。

 

※ここからネタバレ注意 

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【(ネタバレ)ラスト・考察】

葵もフォルトゥナの瞳を持ってたのは予想通り、冒頭の墜落したシーンの女の子を意味ありげに映した時点で(後でも出てくるし、下敷きになったが死んだかどうかは分からない)、ほとんどの人がこの子は葵で同じく生き延びた慎一郎と同じくフォルトゥナの瞳を持っている、と気付いてしまうはず。

慎一郎の中では救えなかった・死んだことになっていたのはトラウマによって記憶を書き換えられたということなのか?、後出しじゃんけんじゃん。。あれだけの飛行機事故で生き延びた子供の生存者なら(2名のみかは?)、マスコミで騒がれるだろうしお互いニュースか何らかの形で名前や顔を覚えていそうなものだが。。

他に途中でも、すんなりと運命が見える話を全く疑わずに受け入れたこと、沖縄前夜に泣いてたこと、旅行をすっぽかして電車に乗ったこと、彼が救った幼稚園児を見つめるシーンなど・・更に有村架純の決して上手いとは言えない素直すぎる演技も相まって、出会った時から言動の全てが嘘くさいこともあり、どこかで誰もが察してしまうのでは。ただでさえ、衝撃のラスト・どんでん返しと言われて構えているのに(もう余程の衝撃でない限り逆効果だから宣伝見直すべき)。。

最後に葵を助けて、膝立ちで手をあげたまま力尽きる慎一郎・・かっこいいシーンで泣ける人も多いだろうが・・こんな体勢を保ったままの死は「我が生涯に一片の悔いなし!」北斗の拳ラオウの最期のシーンしか浮かばなかった自分に悔いあり!(いつもの百田尚樹らしい自己犠牲礼賛にまたか)。他人は割り切ることが出来ても自分の愛する人は助けたい、やはり自分を含めこの選択をしてしまう人は多いだろう(ましてやこんなに可愛い子なら命くれない)。

 

ただし、オチを知った上で振り返ると、葵は全てを分かっているのに何故?としか思えない行動ばかりで酷い人 ※「ズルい女」に見えてしまう(最初の方で気づいたのでずっとイライラしながら見ていた)。。瞳の能力を持つことの責任・つらさ・痛みなど慎一郎がずっと苦しんでいる側で、なぜ同じ思いの分かる者として打ち明けて共感・共有しないのか?、何よりもなぜラスト電車に乗ったのか?が全く理解できない。

葵は慎一郎がやろうとしていたことに気づいていたはず、乗客も透明に見えただろうし、これら何百人という人を道連れにする決断の速さ。

慎一郎の「一緒に生きていきたい」という心からの想いを簡単に踏みにじる行動、仕事で行けないとメールを送った時点で明らかに慎一郎が絶対に救いに来るのは分かるはず、電車に乗ったら葵も乗客も両方助けて自分が死ぬ選択肢しか残らないのに。葵が電車に乗らなければ乗客は死ぬかもしれないが、二人とも生き延びる可能性は残ったのでは・・葵一人だけを救うなら死ぬまではないはず。

物語的にも、慎一郎として、多くの乗客を助けるか、それを犠牲にしても葵と一緒に生きるか、「天気の子」パターンの方が良かったのでは・・セカイ系で言えば「葵を救う」or「世界を救う」という選択の構図にしないと。今回は、単なる「葵と乗客を救う」and「自分が死ぬ」という当たり前の何の面白さもない結末になってしまっていた。。

そもそも普通に考えれば、二人が話し合って最善の結末を模索するのがベストだろうに、事前に分かるなら他に方法もあっただろうに。。

慎一郎も電車を止めたいなら、普通に非常停止ボタンを押せば良いだけなのに、電車を追ってタクシーを使うけど普通に追いつくはずがないのに、単に追いかけて盛り上がる画を撮りたいだけにしか思えない。

世間的には 電車を止めた 狂った人間として扱われたのか?、賠償金額は誰が払った?社長・時任三郎?、クレーンが落ちるタイミングを止めて救ったことになるので賠償なし?、あの止めようとした必死さ・死に方・飛行機事故の生き残りの二人の関係とかマスコミの話題性で真相を調査しそうなものだが・・

 

そもそも慎一郎はいつこの能力を確認したのか? 小さい頃から透けて見えたような話もしていたようだが、大人になって最近「初めて体験した」かのような反応をしていて、しかも目の前で死んだのを一回見ただけでその能力を信じてしまうのは何故?

人が薄くなるのに気づいて死ぬまでの時間が人によって違うのも違和感あり、すぐの人もいれば3日後とかの人もいて、透け方や濃淡の違い?

その人の運命を変えると自分にしか影響が出ないのもおかしい気がする、本来なら周りの人の運命も変えるので全体に影響が及ぶのでは・・「バタフライ・エフェクト」のようになるはず。

そしてビックリなのが、こんな身近な範囲で能力を持つ人が3人もいること・・日本全国にいったい何人いるのやら?、臨死体験したら能力を手に入れられるなら意外とありふれているし、フォルトゥナーズを結成して本格的に研究すればスーパーヒーロー軍団になれるのでは・・X-MENみたいな、いや「大いなる力には大いなる責任が伴う」スパイダーマンのピーター・パーカーの立ち位置かな。

 

「人間は朝起きて夜眠るまでおよそ9000回も選択をしている」というセリフが印象に残る。この道で帰ろう、この電車に乗ろう、といった毎日のあらゆる判断・選択が運命を引き寄せているのだ。9000回のうちの1つの選択が愛する大事な人のためであるなら、同じ選択をしたいと思う。

もしかしたらフォルトゥナの瞳を持った人に知らないうちに助けられてるかもしれない。

とりあえず有村架純はいないだろうけどauショップに行って見るか・・その前に電車で吊り革を握ってる人の手がもし透けて見えたらどうしよう・・

 

 

※「ズルい女」♩ ~葵に捧げる~ ちゃらん救

 

Bye-Bye ありがとう さようなら 愛しい恋人よ

あんたちょっといい女だったよ その分ズルい女だね

今夜会えなかったね 淋しかったよ 会いたかったよ

僕のバースディ 今夜バースディ 会いたかったよ

Wo,気持ちいいこともそう 真珠もそう あんたのため

Ah,高級レストランもそう 花束もそう あんたのため

この日だけは 僕のためだよって言ったじゃない

なぜ 来ない来ない来ない来ない来ないあんたは

※Bye-Bye ありがとう さようなら 愛しい恋人よ

あんたちょっといい女だったよ だけどズルい女 

Good-Bye ありがとう 心から 愛しい恋人よ

ずっとこんな日が続けばと 思うほど愛してたのに※

久しぶりの恋 本気の恋 楽しかったよ

Wo,一日中想う 切なく想う 楽しかったよ

僕のせいか?なんか損した気分なのは

でも Want you Hold you Get you Kiss you Miss you Need you 僕のあんたへ

(※くり返し)

Bye-Bye ありがとう さようなら 愛しい恋人よ

あんた本当いい女だったよ 最期もう一度抱きたいよ