本家アカデミー賞に続き、日本アカデミー賞も明日に迫ったため、こちらも直前予想しておきます。
今年のノミネートも本当にひどい・・相変わらずの東宝・東映・松竹、大御所、所属事務所の影響力、テレビ話題・見栄え要員が見え隠れして、忖度対象の人や作品ばかり。他のまともな映画賞を獲っている独立系の作品は見事に全てスルー「火口のふたり」「半世界」「宮本から君へ」「よこがお」「白石監督作品」など役者陣もスタッフもゼロ、本当にちゃんと映画を観ているのか?
本家アカデミー賞では「パラサイト」が歴史を変えたように、日本も意識を変えないと本当に置いていかれる一方、投票者・審査員のみんなに危機感は無いのか?、自社優先・しがらみに縛られないで「映画を愛する一人」として投票して欲しい。。
昨年はカンヌ・パルムドールの「万引き家族」の圧勝で予想しやすかったが、今年は飛び抜けた作品もなく例年以上にいろんな忖度が働いているので非常に予想しづらい。「翔んで埼玉」(東映)が最多12部門、「閉鎖病棟-それぞれの朝-」(東映)が11部門、「キングダム」(東宝)が9部門受賞、「カツベン!」(東映)が7部門受賞、「蜜蜂と遠雷」(東宝)と「新聞記者」(スターサンズ)がそれぞれ6部門受賞、となって固まっているが、どれも圧倒的ではなく他の作品の方が良いものが多いので、正直当たっても外れてもどうでもいい感じ。何の権威もないレコ大並の単なる「日テレ映画祭り」のバラエティ番組(ヤラセあり出来レース)として楽しむことにしたい。
司会は男性は西田敏行に代わり羽鳥慎一アナになり、女性は例年通り前年の主演女優賞として安藤サクラ、そして今年もまたコメント解説は最悪の坂上忍(今のお前に映画の何が語れると言うのか)という布陣。コロナウイルスの影響で無観客の規模縮小での開催に加え、このノミネート布陣なので盛り上がりにかけるのは間違いないだろう(ジャニーズもいないし)。
⇒結果はまさかの「新聞記者」が主要3部門受賞、役者二人は分かるが読売のテレビ局で現政権メディアに斬り込んだ今作が作品賞まで獲るとはビックリ。今の政権にはもう止められる力もなかったか?助成金取り消しなど検閲に対する映画界からのカウンターなのか?
傑作ではないが今の時代に社会派エンタメ作品として攻めた素晴らしい作品で自分もベスト8位だったので、新しい風が吹いたのは素直に喜びたい。これが出来るなら先ずはノミネート自体をちゃんとしろ!と言いたくなるが、やはり本家アカデミー賞を見てから流れが変わったのかな。
しかし、毎年ながら授賞式は全てがショボいし、受賞インタビューやコメントもつまらないものばかり。そして今年も坂上忍がウザかった、発表直前に言う予想が緊張感をぶった斬り興ざめなので本当に止めて欲しい。事前に作品全部見て寝不足ですよ、とか岡村に俳優っぽいですねー、とかあなたに言われたくない。
と自分も人のことは言えないけど、予想としては意外と当たっていて15部門中12部門的中という結果でした。
【作品賞】
普通に映画としての評価でいけば、まさに映像で心情や音楽を語っていた「蜜蜂と遠雷」の完成度が抜けているし、個人的にもこの中では一番。「新聞記者」も意欲的で評価は高いが政権やメディア批判の作品がノミネートされただけでも良しかな(今作を入れることであえてバランスを取ったように見える)。「閉鎖病棟」は役者陣は良いがいろいろと粗が多いし、「キングダム」は興行収入では断トツ1位だが日本にしてはスケールがデカいというだけ。「翔んで埼玉」は面白いし良く出来てはいたがこれを最優秀と言うにはやはり無理がある。それでも正直「翔んで埼玉」になりそうな気がするが、本家アカデミー賞に影響されて少しまともな投票者が増えるとみて、個人的な希望も込めて「蜜蜂と遠雷」としたい(ただ監督賞にノミネートされてないのが厳しい)。
◎『蜜蜂と遠雷』
○『翔んで埼玉』
△「キングダム」
『新聞記者』
『閉鎖病棟-それぞれの朝-』
⇒「新聞記者」
主演女優・男優を獲ったのでこれは作品賞もあると思ったが、読み上げられた時には鳥肌が立った。
海外の主要映画賞が全て社会問題を扱った作品が受賞してるのを見て、日本の映画関係者としてもさすがに埼玉やキングではヤバいと思って、合わせる流れになったのか?オレたちもちゃんと社会派映画を評価できるんだぞって(それはそれで安易だけど)。
それでも来年につながるだろうし、完成公開まで紆余曲折あった監督役者スタッフみんなの情熱や苦労が報われて良かった。出来れば「i新聞記者ドキュメント」とセットで一つの映画として見た方が良い。
【監督賞】
こちらにはなぜか「蜜蜂と遠雷」の石川慶監督がノミネートされていないので、個人的には藤井道人監督にあげたいがまだ若手過ぎるか、結局は無難に武内英樹監督となって作品賞とのW受賞の可能性が高い。次点はエンタメ大作をきっちりまとめた佐藤信介監督で。
◎武内英樹『翔んで埼玉』
○佐藤信介『キングダム』
周防正行『カツベン!』
藤井道人『新聞記者』
⇒ 武内英樹『翔んで埼玉』
監督自身が「獲ってはいけない作品ですいません」と自虐気味にコメントしてたのが印象的。正直本人としても作品賞までは荷が重かったのでは、それでも原作を膨らませて誰もが楽しめるエンタメ作品に仕上げたのは見事だった。
【主演男優賞】
「宮本から君へ」の池松壮亮が無視されている時点で終わっているが、この中だと旬なのにチャンレンジ出演した松坂桃李に獲らせてあげたい(初の主演男優賞になるし昨年は助演男優賞)。ただ何となく中井貴一になりそうな気もするが、さすがにGACKT様だったら一流芸能人格付け連勝記録と同じだな。
◎松坂桃李『新聞記者』
○中井貴一『記憶にございません!』
GACKT『翔んで埼玉』
⇒松坂桃李『新聞記者』
文句なし、旬でありながら出演リスクを恐れずにチャレンジし、様々な葛藤の中でたどり着く眼の演技が見事だった。
【主演女優賞】
「よこがお」の筒井真理子や「宮本から君へ」の蒼井優が無視されて、いつもの宮沢りえと毎回痛々し過ぎて見ていられない吉永小百合が忖度ってる(やはり自ら辞退は出来ないのかな)。この中では松岡茉優が断トツで飛び抜けているし、昨年は獲れなかった主演女優賞を獲らせてあげたい。ただ「翔んで埼玉」の勢いと日テレ忖度の強さ次第では二階堂ふみが「ゴチになります」可能性も高い。
○二階堂ふみ『翔んで埼玉』
△シム・ウンギョン『新聞記者』
⇒シム・ウンギョン『新聞記者』
絶対に選ばれるはずがないと思っていた本人が一番驚いて号泣してたのが印象的。多様性を意識したのもあるだろうが、日本女優が断った中で迷いながらも自分の信念を崩さず突き進む繊細な表情が見事だった。
【助演男優賞】
2019年の男優の顔と言えば、6作品に出演した成田凌のはずだが作品が「愛はなんだ」「さよならくちびる」のためか無視されてしまった。この中では綾野剛や柄本佑(司会の安藤サクラとの夫婦インタビューは楽しみ)も良かったが、一人二役を演じたという強みが反映されて吉沢亮かな。6人枠になった岡村のノミネートはさすがに笑いゴチ枠だろう。
◎吉沢亮『キングダム』
伊勢谷友介『翔んで埼玉』
佐々木蔵之介『空母いぶき』
⇒吉沢亮『キングダム』
やはり二役を演じ分けたのが評価されたのだろう。柄本佑の夫婦インタビューでの大汗が面白かったが、岡村は緊張で地が出たのか全く面白くなかった。
【助演女優賞】
「半世界」の池脇千鶴が無視されるという分からなさ、前田敦子も入れたかったし、清原果耶が新人賞にも入ってないのも不思議。この中では難しい役を別人のように入り込んで熱演した小松菜奈かな。長澤まさみは主演女優賞から漏れたので、こっちで獲らせる可能性も高いが。天海祐希は吉永小百合の申し訳セットだろうな。
○長澤まさみ『キングダム』
△高畑充希『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』
⇒長澤まさみ『キングダム』
うーん、確かに凛と美しく剣さばきもカッコ良かったが演技賞として受賞するのは今作ではないのでは(コンフィデンスマンの方ならまだしも)。
【アニメーション作品賞】
日テレ製作と興行収入の高い作品ばかりで、「プロメア」や「海獣の子供」が入っていないのは仕方なし。さすがに今年を代表する興行収入1位のアニメ「天気の子」しかないだろう(前作「君の名は」は「この世界の片隅に」に負けたので)。
◎『天気の子』
○『空の青さを知る人よ』
△『名探偵コナン 紺青の拳(こんじょうのフィスト)』
『ルパン三世 THE FIRST』
『劇場版『ONE PIECE STAMPEDE』』
⇒ 『天気の子』 妥当でした
【外国作品賞】
今年の興行収入や話題性から言っても「ジョーカー」しかないだろう。
◎『ジョーカー』
○『グリーンブック』
△『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』
『運び屋』
『イエスタデイ』
⇒『ジョーカー』 妥当でした
【脚本賞】
作品賞とセットなら「翔んで埼玉」かな、これだけ三谷幸喜が入ってるけど最優秀賞はないかな。
◎徳永友一『翔んで埼玉』
○詩森ろば/高石明彦/藤井道人『新聞記者』
△三谷幸喜『記憶にございません!』
片島章三『カツベン!』
⇒徳永友一『翔んで埼玉』
【編集賞】
◎河村信二『翔んで埼玉』
○今井剛『キングダム』
△宮島竜治『アルキメデスの大戦』
古川達馬『新聞記者』
洲崎千恵子『閉鎖病棟-それぞれの朝-』
⇒河村信二『翔んで埼玉』
【撮影賞】
◎河津太郎『キングダム』
○ピオトル・ニエミイスキ『蜜蜂と遠雷』
△谷川創平『翔んで埼玉』
柴崎幸三『閉鎖病棟-それぞれの朝-』
藤澤順一『カツベン!』
⇒河津太郎『キングダム』
【照明賞】
◎長田達也『カツベン!』
○宗賢次郎『蜜蜂と遠雷』
△李家俊理『翔んで埼玉』
上田なりゆき『閉鎖病棟-それぞれの朝-』
⇒対象者なし
【美術賞】
◎斎藤岩男『キングダム』
○あべ木陽次『翔んで埼玉』
△磯田典宏『カツベン!』
上條安里『アルキメデスの大戦』
中澤克巳『閉鎖病棟-それぞれの朝-』
⇒斎藤岩男『キングダム』
【録音賞】
◎久連石由文『蜜蜂と遠雷』
○横野一氏工『キングダム』
△加藤大和『翔んで埼玉』
郡弘道『カツベン!』
小松将人『閉鎖病棟-それぞれの朝-』
⇒久連石由文『蜜蜂と遠雷』
【音楽賞】
これは「天気の子」で間違いないだろう。
◎RADWIMPS『天気の子』
△周防義和『カツベン!』
やまだ豊『キングダム』
Face 2 fAKE『翔んで埼玉』
⇒RADWIMPS『天気の子』
【新人俳優賞】
岸井ゆきの『愛がなんだ』
吉岡里帆『見えない目撃者』『パラレルワールド・ラブストーリー』
黒島結菜『カツベン!』
横浜流星『愛唄 -約束のナクヒト-』『いなくなれ、群青』『チア男子!!』
【話題賞】
オールナイトニッポンの投票ということで何だかなあ・・普通なら「翔んで埼玉」は話題賞レベルだと思うが・・
作品部門: 「決算!忠臣蔵」
俳優部門: 星野源「引っ越し大名!」