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2023年 第46回 日本アカデミー賞(予想 ⇒ 結果)

本家アカデミー賞は3/13ですが、先に日本アカデミー賞が3/10と迫ってきたため、今年もこちらを直前予想しておきます。

今年も数年前の酷さに比べればまだましなノミネートだけど・・相変わらず松竹・東宝東映の大手3社による寡占が続き、大御所、所属事務所の影響力、テレビ話題・見栄え要員が明らかで、忖度対象の人や作品があるのは残念で恥ずかしい。他の主要な映画賞を獲っている独立系の作品はほぼノミネートすらされず、大手3社にすべての賞が偏り・固まり過ぎ。キネ旬や毎日など国内の主要映画賞を席巻した「ケイコ、目を澄ませて」は作品賞のノミネートなしで主演女優賞のみ、「さがす」「夜明けまでバス停で」「こちらあみ子」「マイ・スモールランド」などは、作品内容的にテレビ向きではないものの役者陣(新人賞ですら)もスタッフもゼロという。

ノミネート割合でいくと松竹45%、東宝23%、東映13%となんと3社で81%を占めるという異常な事態は変わらず(投票者の8割が映画会社のサラリーマンである組織人なので)。正直言って「月の満ち欠け」が各部門ノミネートされているのは松竹組織票と忖度以外何物でもなく、とてもベスト5作品に入るレベルではないのは誰でも分かると思う。投票者・審査員のみなさん、毎年言い続けますが自社優先ノルマ・しがらみに縛られないで「映画を愛する一人」として投票して下さい(特に松竹の関係者皆様方へ、昨年の「キネマの神様」をはじめここ最近あまりにも露骨過ぎますって自分が一番分かってますよね)。

今年も松竹の比率が高く、松竹「ある男」は12部門と最多ノミネート、同じ松竹の「月の満ち欠け」が9部門、東映の「ハケンアニメ」が同じく9部門、昨年ゼロだった東宝は今年は何とかねじ込んだ「シン・ウルトラマン」が7部門、あとはGAGAの「流浪の月」が6部門、となっている。そして毎年そうだがスタッフ技術関連も作品賞に応じてこの5作品に偏っているのもおかしい状態。昨年の「ドライブ・マイ・カー」も本家アカデミー賞ノミネートが無かったら絶対に無視されていたので、独立系がノミネートされるには海外の主要な賞を獲らないと無理なのは間違いない。

それで、予想としては最多ノミネートで全体的・総合的に完成度の高い「ある男」が多くを占めるか、俳優陣はバランスを取って分けるかどうか・・「流浪の月」もいいのだが決定力に欠けるので、むしろ「ハケンアニメ」の方に意外と流れる可能性もあって面白い。「月の満ち欠け」と「シンウルトラマン」はゼロになるかも(なるべき?)。ノミネートは利害・忖度あってもさすがに最優秀賞は映画人としてまともに選んでくるはず・・レコ大並の単なる「日テレ映画祭り」の恥ずかしい結果になりませんように。

ただ今年はスタジオ解説がようやくやっと坂上忍がいなくなって(ここで毎年言ってる不平不満が効いて反映された?)、なぜかオードリー・若林になっていたのにはビックリ(この人選も?昔は映画館でバイトしていたらしいが今そんなに詳しいとも思えない)。なんだかんだ文句や突っ込みがなくなるのも少し寂しい気もするが・・(どっちなんだい?)、司会の有村架純ちゃん(昨年の最優秀主演女優賞)や各俳優陣の衣装にも注目してテレビ放映を楽しみましょう!

 

⇒結果は「ある男」が最多8部門で最優秀賞受賞と予想以上に圧倒的だったが、ほとんど忖度のない順当な結果と言えるのでは。昨年度も「ドライブ・マイ・カー」が8部門全て獲っていたので、最近はバランスを調整するのはほとんど無くなったのかと思われる。「月の満ち欠け」の結果ゼロは当然としても「流浪の月」と「ハケンアニメ」がゼロと言うのはちょっと・・

個人的予想は今回はいまいちな結果で全15部門中9部門的中(昨年は11部門的中)、バランスを見て忖度した主演男優と脚本が残念、改めるとテレビ的に敢えて忖度した予想をしているのが恥ずかしい(自分が一番忖度していたという・・)、来年からは自分の予想と一致させるようにします。ただ、撮影・照明が「シン・ウルトラマン」なのはおかしいと思いつつ、それ以外は忖度や日テレ要素は少なかったのでは。

テレビ的には毎年のことだが最後の作品賞や監督賞、スタッフ系の受賞スピーチが省かれるので残念でならない。役者のスピーチもぶつ切りでリアルに伝わってこないし、2時間の尺で足りないのは分かるが、映画は監督スタッフあっての作品なのでもう少し上手く編集をお願いしたい。新人のところやいちいち何回も同じような作品紹介は省けるはず。

あと坂上忍の後任であるオードリー・若林は思いのほか悪くなかった。ドヤ顔や上から目線でのコメントも無く、ちゃんと映画好きなのと映画センスもあるのかなと。本や文学に造詣が深いのと「ケイコ」が人生で一生忘れない映画になると言い続け、岸井ゆきのと喜びを分かち合った姿は微笑ましかった。

 

 

 

【作品賞】

自分のベスト20に入っているのが3作品(「ある男」2位、「ハケンアニメ」7位、「流浪の月」10位)あるけど、とにかく「ケイコ」が無いのが信じられないし、せめて「PLAN75」ぐらいはカンヌや海外で受賞・評価も高いので入っても良かったのでは。

今回はこの中では作品の完成度・総合力から順当に「ある男」になるだろう、監督賞と脚本賞と各俳優部門に満遍なくノミネートされていて場合によってかなり独占する可能性もあるかも・・ただ、同じ松竹枠の「月の満ち欠け」に票が割れると厳しくなるのが心配。次点は「流浪の月」かと思いつつもなぜか監督賞と脚本賞にはノミネートされてないので実際はかなり厳しいかな、代わりに「ハケンアニメ」の方が監督賞も脚本賞もノミネートあり大穴としては一番面白い。「月の満ち欠け」は松竹・俳優忖度枠なので論外、「シンウルトラマン」もあの「シンゴジラ」と比べると差があり過ぎてノミネートされただけで十分だろう。

 

◎「ある男」

 「シン・ウルトラマン

 「月の満ち欠け」

△「ハケンアニメ!」

〇「流浪の月」

 

⇒「ある男」

言うことなし、俳優部門3つとも受賞した時点で作品賞は間違いなしで結果8部門受賞と圧倒的だった。もし「ケイコ」がノミネートされていたらどうなったか?は気になるところ。正直、興行収入としては惨敗(5億弱?アニメは100億越え)で、松竹とこの俳優陣と宣伝を考えるとかなり厳しい・・地味で暗そうと敬遠されるのは仕方ないが、こういう作品がもっと見られるような映画文化にならないと。最後の壇上では、石川監督のデビュー作「愚行録」でも主演を務めた妻夫木が「僕は一番、彼の才能を間近で見ていた自負があるので認めてもらったのが本当に嬉しい」と涙ぐみながら祝福していたのが感動的だった。

 

  

【監督賞】

これも順当にいけば「ある男」の石川慶監督だろう、作品賞がもし「ハケンアニメ」なら吉野監督も無くはないけど。万が一、松竹枠のバランスで無理やり廣木隆一監督だったら笑うしかない(依頼お仕事案件なので廣木監督本人も納得しないはず、独立系だと他に良い作品がたくさんあるのに)。ここで樋口監督もないだろうし(「シン・ゴジラ」で獲っているし)、なぜかここで「峠 最後のサムライ」が入ってくるが小泉監督にいたっては松竹枠と黒澤明後光枠でしかない(役所広司の無駄使い)。

 

◎「石川慶」(ある男)

 「小泉堯史」(峠 最後のサムライ)

 「樋口真嗣」(シン・ウルトラマン

△「廣木隆一」(月の満ち欠け)

〇「吉野耕平」(ハケンアニメ!)

 

⇒「石川慶」(ある男)

「愚行録」や「蜜蜂と遠雷」など既に世界的にも映画好きにも評価はされていたのでようやくな感じもするが、この題材とこの俳優陣の魅力を最大限に引き出した脚本・演出・技術の総合力は傑出していた。

 

 

【主演男優賞】

うーん、他の国内主要映画賞を獲っている「土を喰らう十二か月」の沢田研二が大本命だったのにノミネートされず、「さがす」の佐藤二郎もいない(作品が独立系すぎるか)、ここは難しくて迷うところで3人の戦いかな。妻夫木聡アイデンティティに揺れ動きながらお得意の抑えた怒りの苦笑いと背中の演技が絶品で久しぶりに受賞させたいところだが、「ある男」の他の二人の受賞独占しだいでバランスを取られそうな気がする、松坂桃李は減量してガリガリになった身体から滲み出る諦め感や繊細な感情変化などが見事だったが、ここ最近受賞が続いているので少し遠慮が働くか?、二宮和也は頑張ってはいたが個人的にはそこまでとは思えずも久しぶりに獲らせて盛り上げる可能性も否めず(ジャニーズ忖度は無いはずだが)、「ラーゲリ」は作品賞に入ってないけどあえてニノを入れたのは獲らせる力が働いてると見て予想はこちらにしておきます。大泉洋もさすがの安定感だがこの作品ではないかな、阿部サダヲもこのシリアルキラー怪演ぶりは見事なハマり具合だったが作品的に受賞までは厳しいかと。

 

 「阿部サダヲ」(死刑にいたる病)

 「大泉洋」(月の満ち欠け)

△「妻夫木聡」(ある男)

◎「二宮和也」(ラーゲリより愛を込めて)

〇「松坂桃李」(流浪の月)

 

⇒「妻夫木聡」(ある男)

すいません、敢えて忖度したのが間違いでした・・バランスとられずに妥当に妻夫木でした。まあ「浅田家」の時もニノは受賞逃していたし改めてジャニーズ忖度は最優秀賞には無いことが証明されたのかな。妻夫木も主演男優賞は前回「悪人」で受賞してから12年ぶりということで本当に良かった、前回は中継だったので今回は現場でのトロフィー授与とスピーチは、もらえると思ってなく何も考えてなかったとした上で「これからも日本映画を盛り上げていきたい」とのコメントが頼もしい。あとは、阿部サダヲの殺された生徒たちとの記念2ショット、松坂桃李の現場での気配が無く探すのに苦労する(想像できる)話が面白かった。

 

 

【主演女優賞】

今回ここが唯一全員納得できるノミネートメンバーだが、さすがにここは岸井ゆきの一択で間違いない、あの身体作りとボクサーぶりに言葉なくとも伝わってくる強烈な目での表現は作品を見れば納得させられるはず。そもそも作品賞含め多くノミネートされるべきなのだが、さすがに主演女優賞ぐらいはノミネートせざるを得なかったのが実態だろう、されたからには選ぶしかない。倍賞千恵子も通常なら受賞すべきところだが今回は相手が悪かった、年齢や経験を重ねた彼女にしか出せない繊細な仕草で心情の揺れ動きと凛とした強さの説得力は本当に半端なかった。広瀬すずもこういう影や闇を抱えた複雑な感情表現はお手の物だが繊細で素晴らしかった、のんちゃんも先ずキャスティングした勇気とそれを超えるあの恐れのない天然な透明感のハマり具合が見事だった(干されても地道に頑張っていたのが報われて良かった)、吉岡里帆もほぼスッピンで悩みながらも熱い闘志と熱意が伝わってくる絶妙なバランスが良かった。

 

◎「岸井ゆきの」(ケイコ 目を澄ませて)

 「のん」(さかなのこ)

〇「倍賞千恵子」(PLAN 75)

△「広瀬すず」(流浪の月)

 「吉岡里帆」(ハケンアニメ!)

 

⇒「岸井ゆきの」(ケイコ 目を澄ませて)

・ここは当然の受賞だが、本人自体は発表されて相当ビックリしつつ涙ながら言葉を詰まらせながらのスピーチとなった。かなりの映画好きで有名だが「映画を見ている時は何語でも話せるしどこにでも行けるし、何者でもないと思えるから好き、40年前の映画を初めて見た時これを見るために今までがあったんだなと思う、映画はずっとそこで見つけてくれるのを待ってくれていて、そういう風にまだ出会う前の誰かのために生きることはできるのかなと、このケイコは私が見たことのない景色を見させていただいた作品です」とまさに自分の思う映画の魅力を語ってくれてグッと感動してしまった。本人もダメ押ししていたが、まだ映画は公開中なので上映館は少ないのが難点だけど見てない人は見れば誰もが納得の演技と作品の素晴らしさなので是非。

あとは各女優陣のそれぞれが醸し出す美しさ、この中に倍賞千恵子が立つ重み(毎回絶対ノミネートされる棒大御所とは違った)から未来への期待。すずちゃんの顔立ちは当然として改めて大人になったのんちゃんの整い方と相変わらずの瞳のキラキラ感が際立っていて、架純ちゃんとのあまちゃんコンビにも涙、民放もっと使わないと本当に勿体ないでしょ。

 

 

助演男優賞

うーん、三浦友和「ケイコ 目を澄まして」を無視しているのが意味が分からない、他の出演作を含めて本当に年齢に見合った素晴らしい俳優でそろそろ受賞していいのに。。ここも難しくて迷うところで3人の戦いかな、窪田正孝は重要な役どころを違和感なく別人として生きる苦悩を見事に演じていて受賞に一番近いかな(こちらのボクシングシーンも見事)、横浜流星も今までのイメージを覆すダメDV男の狂気と葛藤を本気で嫌いになりそうなくらいリアルに演じていた、柄本佑はビジネスライクに厳しいながら裏で醸し出す優しさを嫌味なくさすがの安定感で美味しい役どころだった、安藤サクラも受賞して夫婦でダブル受賞したらテレビ的にも美味しく見てみたい・・坂口健太郎は悲しみを抱えた狂犬サイコパスの迫力はあったがどうしても優しさが勝ってしまい横浜流星ほどのギャップが無かった、目黒連はドラマ「silent」をはじめ上手だと思うが今作で受賞するのはあり得ない、新人賞で十分だと思うけど話題性とテレビ要員として昨年の西野七瀬と同様担ぎ出された感じかな。。

 

△「柄本佑」(ハケンアニメ!)

◎「窪田正孝」(ある男)

 「坂口健太郎」(ヘルドッグス)

 「目黒蓮」(月の満ち欠け)

〇「横浜流星」(流浪の月)

 

⇒「窪田正孝」(ある男)

ここも妥当でした、本人は選ばれると思ってなく相当驚いていたようだが、この主演と言ってもいい難役を見事に自分のものしていて納得の初受賞おめでとうございます。石川監督の演出に「役の本当の底の底、中身のもっと深い部分を撮りたいと、裸よりも恥ずかしい全部をむき出しにするくらいやって、サクラさんが受け止めてくれた、役者という仕事ができていることに心から感謝」とのコメントが良かった。横浜流星はヒゲが強めでワイルドだろう~、目黒蓮は個人的にはあの髪型でない方が良い気もしたが、坂口健太郎は控えめで目立ってなかったかな。

 

 

 助演女優賞

助演は昨年も酷かったが今年も酷い、毎年毎年なぜいつもこうなるのか何の力が働いたらこうなるのか?誰か教えて欲しい(ノミネートされた人には罪はないのであしからず)。「あちらにいる鬼」の広末涼子、「さがす」の伊藤蒼や「PLAN75」の河合優実(新人賞すら無し)を完全無視してまで選んだこのメンバーだと、順当にいけば安藤サクラかな、お得意の泣きから別人を愛した苦悩と葛藤を繊細に表現していてさすがの安定感で助演では初の受賞なるか?、尾野真千子も天才監督に振り回されつつ見事な調整力で画面を締めていくキーパーソンを見事に演じていたのでそろそろ受賞させてあげたいところ、今年は「サバカン」「こちらあみ子」の役も良かったし(本来は昨年の主演女優賞で獲るべきだったが)、あとは意外と清野菜名も2作品でノミネートされているので可能性は大きい、正直キングダムは彼女ならではのアクションが良かっただけでこの役での受賞は微妙で(ただ長澤まさみがキングダムで獲っている)「ある男」の方が良かったけど同じ安藤サクラと比べてしまうと厳しい、2つ合わせ技でいけるかどうか? 有村架純は昨年獲っているし今回も悪くはないけどいつもの感じで突出してはないかな、永野芽郁も難しい役どころを頑張ってはいたけど演出を含め作品的に厳しいかな、あととにかく6枠に増やしてまでの松本穂香のノミネートが謎過ぎる、「“それ”がいる森」は下手したらワースト1レベルの作品でなぜこの役で?、話題性・見栄え要員としても微妙だし何の力なのだろう(本人は悪くない、他の独立系の出演作は素晴らしいので)。

 

 「有村架純」(月の満ち欠け)

◎「安藤サクラ」(ある男)

〇「尾野真千子」(ハケンアニメ!)

△「清野菜名」(ある男)(キングダム2  遥かなる大地へ)

 「永野芽郁」(母性)

 「松本穂香」(“それ”がいる森)

 

⇒「安藤サクラ」(ある男)

ここも妥当でした、主演は2度受賞済みだけど助演は初なのもあるのか、壇上では涙を流しながら正直な本音のスピーチ、子育てと映画の両立が出来ないと悩みながらくよくよのピーク時にはコンビニに行ったつもりが家に子供に会いに帰っていたと葛藤の日々を語り、妻夫木にはこの作品で引退すると思うと言っていたとのこと。それでも現場が大好きで悩みながらも家族で会議しながら戻っていくしかないと、会場にいた旦那の柄本佑と見つめ合ったのも感動的だった。(なぜか進行役のミトちゃんも分かる~ともらい泣きしていたが・・結婚してないけど・・)。架純ちゃんは司会に受賞者にプレゼンテーターに何役もこなしてお疲れさまでした。

 

 

【アニメーション作品賞】

今年もアニメーションが強かったが、この5作品のノミネートは納得で激戦、3作品が100億以上となっており、興行成績順でいくと先ず「ONE PIECE FILM RED」は197億というとてつもない数値でウタ(Ado)の主題歌「新時代」も含めて超大ヒット作だが、フジテレビのテレビシリーズもので映画として大傑作かと言われると厳しい。「すずめの戸締まり」は140億と新海誠監督の集大成として今回も大ヒットでクオリティの高さは一級品だが、個人的には東日本大震災をリアルに取り込むには中途半端で映像音楽を含めた作家性が薄れた印象、日テレ系なので受賞の可能性は高い。そんな中でも「THE FIRST SLAM DUNK」は事前情報なしのネガティブ要素を吹き飛ばす120億の大ヒット、元コンテンツの強さもあるが原作者自らが監督してまでこだわった革新的な映像表現力やスポーツアニメのリアルさ含めて最強の評価なので是非受賞して欲しいしすべき作品かと。「犬王」も湯浅正明監督らしさ全開で一般受けはしないが個人的には大好きだが受賞までは厳しい、「かがみの孤城」も原恵一監督の良いところが復活していて「いじめ問題」に誠実に向かい合った素晴らしい作品かとは思うがこちらも受賞までは厳しいかな。

 

△「犬王」

 「かがみの孤城

〇「すずめの戸締まり」

◎「THE FIRST SLAM DUNK

 「ONE PIECE FILM RED」

 

⇒「THE FIRST SLAM DUNK

これは素直に受賞出来て良かった、アニメ表現・映画の完成度からして選ばれるべきだったので。新海誠監督は日テレ系だけど、いつも相手が悪いのが残念(「君の名は」の時も「この世界の片隅に」が獲った)。

 

 

【外国作品賞】

この5作品はまあ納得だが、ここはやはり「トップガン マーヴェリック」だろう、136億の大ヒットで日本だけでなく世界中の洋画・映画館を救ったヒーローとして、会員の年代からも世代的にはたまらない完璧な作品だった。次は王道の誰もが感動できる昨年の本家アカデミー作品賞の「コーダ あいのうた」で満遍なく票が入るので可能性あり。そしていまだ熱冷めやらぬ「RRR」は日本のインド映画最大のヒット作となって3時間一切飽きさせないアクションエンターテインメントとしての熱量はピカ一。「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」も集大成としては完璧でファンには最高だろうが個人的にはマルチバース疲れもあり受賞するまではない、「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」は世界では興行収入3位となり(同じキャメロン作品のタイタニックを抜いた)、映像的には本当に映画館3Dでしか体験できない圧倒的な素晴らしさだったが、とにかく話がつまらないのと長いので映画としてはダメダメ、日本ではヒットせずアニメの足元にも及ばないという結果に。

 

 「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」

〇「コーダ あいのうた」

  「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」

◎「トップガン マーヴェリック」

△「RRR」

  

⇒「トップガン マーヴェリック」

ここもダントツ人気だし受賞出来て素直に良かったのでは。

 

 脚本賞

これはだいたい作品賞とリンクすると見ると「ある男」が妥当で、サスペンスとしても人間ドラマとしても複層的で重厚感あり最後までアイデンティティの答えをあぶり出してくる構成が見事だった、が敢えてここは作品賞ノミネートされなかった分「PLAN75」を推したい、初の長編とは思えない早川千絵監督自らの脚本は、重いテーマをシンプルに見やすく余白を多くして考えさせられながら傍観者ではいられない問題提起までまとめあげていて見事だった、倍賞千恵子が厳しいのでせめてここで獲らせてあげたいところ。「ハケンアニメ」もテンポよく2つのアニメ制作チームのそれぞれの葛藤を分かりやすく仕上げていたので作品賞を獲ったらこちらも可能性はあるかも。「月の満ち欠け」と「峠 最後のサムライ」は松竹枠で、特に後者は脚本(原作からの脚色)は全くダメでなぜノミネートされたのか恥ずかしいレベル。

 

 「小泉堯史」(峠 最後のサムライ)

 「橋本裕志」 (月の満ち欠け)

◎「早川千絵」 (PLAN 75)

△「政池洋佑」(ハケンアニメ!)

〇「向井康介」 (ある男)

 

⇒「向井康介」 (ある男)

・・ですよね、普通にだいたい作品賞とリンクするので順当でした、敢えてバランスを見過ぎました・・

 

 

 編集賞

時系列や複雑な構造を分かりやすく編集した「ある男」が有力だが、「ハケンアニメ」も2つのアニメを取り入れながら見やすかった。このあたりで「シン・ウルトラマン」に獲らせる可能性もあり。

 「阿賀英登」(峠 最後のサムライ)

◎「石川慶」(ある男)

〇「上野聡一」(ハケンアニメ!)

△「栗原洋平庵野秀明」(シン・ウルトラマン

 「野本稔」(月の満ち欠け) 

 

⇒「石川慶」(ある男)

ここも順当な結果でした。

 

 【撮影賞】

「流浪の月」は「パラサイト」を撮ったホン・ギョンピョらしい映像美が素晴らしかったので有力だが、「ある男」も石川監督好みの青みがかった薄暗いブルーが魅力的だった、ただこのあたりで唯一良かったカメラで「峠」に獲らせる可能性もあり。

 「市川修、鈴木啓造」(シン・ウルトラマン

△「上田正治、北澤弘之」(峠 最後のサムライ)

〇「近藤龍人」(ある男)

 「佐光朗」(キングダム2 遥かなる大地へ)

◎「ホン・ギョンピョ」(流浪の月)

 

⇒「市川修、鈴木啓造」(シン・ウルトラマン

ごめんさない、この受賞は分からない・・特撮だからの理由だけ?、そこまで評価される要素を誰か教えて下さい。投票者が映画会社サラリーマンが多いから、正直専門的な技術部門の評価が正当にできているのか?がそもそも疑問だけど・・何となく自分の会社かイメージだけで偏りそうな感じ。

 

【照明賞】

こちらも「ある男」か「流浪の月」か悩ましいところ、峠もなくはないか。本当なら撮影と照明と録音は「ケイコ」が穫るべきかと思うけど。

 「吉角荘介」(シン・ウルトラマン

△「山川英明」(峠 最後のサムライ)

◎「宗賢次郎」(ある男)

 「加瀬弘行」(キングダム2 遥かなる大地へ)

〇 「中村裕樹」(流浪の月)

 

⇒「吉角荘介」(シン・ウルトラマン

撮影賞とセット受賞は普通だけど、こちらも同じく「シン・ウルトラマン」の照明が

そこまで評価される要素を誰か教えて下さい。

 

美術賞

大作らしいカネのかかった「キングダム2」にここで獲らせるかどうか?、「シン・ウルトラマン」も特撮だけに可能性あり、「ラーゲ」は個人的には正直セットは安っぽく感じてしまって全体的にキレイすぎて悲壮感があまり伝わってこなかった。「ハケンアニメ」も劇中アニメを美術と見れば受賞に値するけど。

△「磯見俊裕、露木恵美子」(ラーゲリより愛を込めて)

◎「小澤秀高」(キングダム2 遥かなる大地へ)

 「神田諭」(ハケンアニメ!)

〇「林田裕至、佐久嶋依里」(シン・ウルトラマン

 「我妻弘之」(ある男)

 

⇒「林田裕至、佐久嶋依里」(シン・ウルトラマン

ここはまあ分からなくもないので、「ラーゲ」が獲るよりは良かったかと。

 

【録音賞】

「ケイコ」が無視されているのでこの中だと「ある男」かな、「峠」か「シン・ウルトラマン」に獲らせるのもあり。

◎「小川武」(ある男)

△「田中博信(録音)、山田陽(整音)」(シン・ウルトラマン

 「深田晃」(月の満ち欠け)

○ 「矢野正人」(峠 最後のサムライ)

 「 横野一氏工」(キングダム2 遥かなる大地へ)

 

⇒「小川武」(ある男)

この中でだと順当の結果かと。

 

【音楽賞】

どれも決め手がなく難しい、アニメ賞が獲れない代わりに「すずめの戸締まり」にしようかと思いつつ、前作ほどのインパクトが無く今回はあまり音楽との親和性やエモさは弱かったので、「ハケンアニメ」にしておこうかな。音楽的には「ある男」のCicadaが好みだけど・・

◎「池頼広」(ハケンアニメ!)

 「高見優」(耳をすませば

△「Cicada」(ある男)

 「FUKUSHIGE MARI」(月の満ち欠け)

〇「RADWIMPS陣内一真」(すずめの戸締まり)

 

⇒「RADWIMPS、陣内一真」(すずめの戸締まり)

ここはやはり「すずめ」でしたか・・RADWIMPSの歌曲色が薄れたのと映像とそこまでマッチしてた感がなく、途中で何度も入る懐メロ(ジブリオマージュも)も合わなかったのは自分だけなのか・・

 

【新人俳優賞】

はい、毎年一番どうでもいいところ、各事務所が今後に踏まえ推して泊をつけておきたいだけの忖度でしょう。昨年はジャニーズがゼロだった反動か今年は男性枠4人のうち3人もノミネートと大判振る舞い、目黒蓮助演男優賞なので仕方ないにしろ、有岡大貴と松村北斗はこの作品でのノミネートはあり得ない・・あとの女性3名は可愛くて映えるのでテレビ的には良いのでは。
この中では受賞に値するのは、小野花梨は最近ますます上手くなってきた(子役時代からベテランだけど)、「サバカン」の番家一路くんはもう一人の原田くんと2名で受賞するべきの自然体の子役演技だった。何よりも圧倒的で突出していた2名「マイ・スモールランド」の嵐莉菜と「こちらあみ子」の大沢一菜がノミネートされていないのは残念無念で仕方がない。
 

小野花梨」(ハケンアニメ!)

「菊池日菜子」(月の満ち欠け)

福本莉子」(今夜、世界からこの恋が消えても)

「生見愛瑠」(モエカレはオレンジ色)

「有岡大貴」(シン・ウルトラマン)(劇場版『きのう何食べた?

「番家一路」(サバカン SABAKAN)

松村北斗」(ホリック xxxHOLiC

目黒蓮」(月の満ち欠け)

 

⇒プレゼンターの西島秀俊のコメントどおり「皆さんは日本映画の未来です、俳優の人生は長いので、どうか自分を大切に」とあるように、このメンバーが映画の未来として10年後に何人が残っているかは別として・・これからが大事なので是非がんばってもらいたく。

 

【話題賞

オールナイトニッポンの投票ということで何だかなあ・・ここで「ONE PIECE FILM RED」が選ばれているので、アニメ賞は無いかな、興行収入やウタを含め一般受けの話題賞にはピッタリ。俳優部門はあえてすずめの声優の方で選ばれたのかな?、人気投票なので推し含め頑張ったかいがありますね(目黒蓮は助演男優ノミネートなのでこちらは譲った感じ?)

作品部門:「ONE PIECE FILM RED」」

俳優部門: 松村北斗「すずめの戸締り」「ホリック xxxHOLiC