本家アカデミー賞は3/28ですが、先に日本アカデミー賞が3/11と迫ってきたため、今年もこちらを直前予想しておきます。
今年はここ数年の酷さに比べればまだまともなノミネートになったかも・・とは言え相変わらずの東宝・東映・松竹、大御所、所属事務所の影響力、テレビ話題・見栄え要員が見え隠れして、忖度対象の人や作品があるのは致し方なし。他の主要な映画賞を獲っている独立系の作品は見事に全てスルー、「空白」「由宇子の天秤」「あのこは貴族」などは作品ノミネートだけでなく、役者陣もスタッフもゼロという。投票者・審査員のみなさん、毎年言い続けますが自社優先ノルマ・しがらみに縛られないで「映画を愛する一人」として投票して下さい。
今年は松竹と東映の比率が高く、東映「孤狼の血LEVEL2」で13部門と最多ノミネート、松竹は「護られなかった者たちへ」が12部門、と「キネマの神様」が8部門、あとはビターズ・エンド「ドライブ・マイ・カー」が8部門、ワーナー・ブラザーズ「すばらしき世界」が7部門となっている。まあ昨年断言した通り、恒例の出せば確実ノミネートの大御所枠、吉永小百合枠と山田洋二枠はやはり健在でした(苦笑)。正直「ドライブ・マイ・カー」も本家アカデミー賞ノミネートが無かったら、今まで通り絶対に無視されていたのは間違いない。
まさかの東宝がゼロというのは衝撃的ではあるが、興行収入を優先した作品づくりで本当に良い作品が無かったのも事実、なので必然的に「シン・エヴァンゲリオン」「呪術廻戦0」「竜とそばかすの姫」のアニメ3作品のみという結果。まあ、長年の問題で誰もが分かっていてスルーしてきた独占禁止法の手が、ようやく東宝に入ったことは映画業界全体としては喜ばしいことで、これで少しでも変わってくれることを期待しつつ・・この殿様やりたい放題のせいでどれだけミニシアターや良い作品が潰れてきたことか。
それで、予想としては今年は簡単で普通にまともに評価されれば、よほどの忖度が働かない限り主要部門は当たるはず、それだけこのノミネート枠の中では抜けている感あり。 いまや何の権威もないレコ大並の単なる「日テレ映画祭り」と揶揄される結果にならないことを祈りつつ。今年もスタジオ解説の坂上忍のコメントや直前の予想に不快になりながらも(今のお前に映画の何が語れると言うのか、寝る間を惜しんで全部鑑賞した自慢とか許せない)、司会の長澤まさみや各俳優陣の衣装にも注目してテレビ放映を楽しみましょう!
⇒今回はほとんど全て忖度のない順当な結果となりました。やはり「ドライブ・マイ・カー」が8部門ノミネート中、8部門全てで最優秀賞を獲るという圧倒的な強さ。スタッフ部門で少しはバランス獲るかと思われましたが、スタッフ同士の目線から見ても本当に全てにおいて評価が高かったことが証明されたのかと。
個人的予想も他の部門含めて今回はかなり当たった方でした(全15部門中11部門的中)、変に忖度を予想しないで自分の考えのままだったらほぼ全て当たっていたのかな(主演男優と外国語以外)。大手忖度や日テレ要素は本当に少なかったと思われる。
テレビ的には、いつも最後の作品賞や監督賞、スタッフ系の受賞スピーチが省かれるので残念でならない。役者優先での視聴率のため2時間の尺で足りないのは分かるが、映画は監督スタッフあっての作品なのでもう少し上手く編集をお願いします。
あと坂上忍コメントがやはり随所での上から目線が癪に障った、今回も自慢げに全ての作品を観ましたとのドヤ顔(いや当たり前でしょ、むしろ観ていない作品あったらどうするの?)。また、西島くん呼びとか天海祐希と同期だからとか〇〇さん大好きだとか・・今の自分の映画人として立ち位置を再認識して欲しい(直前予想が無くなったのは良かったが)。
【作品賞】
自分のベスト20に入っているのが4作品あり、まあ例年に比べれば納得は出来るかな。「あのこは貴族」「由宇子の天秤」はこの並びには難しいだろうが「空白」「花束みたいな」あたりはノミネート可能性はあったのでは(吉田恵輔監督が毎年不憫でならない)。
今回はさすがに間違いなく「ドライブ・マイ・カー」で決まりだろう、ノミネートされたならば選ばれないわけがない。本家アカデミー賞には弱くプライドが高いアカデミー会員たちで、ここ数年は独立系の配給作品「新聞記者」「ミッドナイト・スワン」と社会性も意識した作品が獲っていることもあり。何より世界中をはじめ国内の主要映画賞での圧倒的な評価は揺るがないだろう。
「すばらしき世界」は、普通の年なら絶対に獲っていたはずの本当に素晴らしい作品だったが、今年は相手が悪すぎた、昨年だったら良かったのになあ。「孤狼の血 LEVEL2」は最多ノミネートだけど、やはり前作と比べるバイオレンス劇に寄り過ぎて人間ドラマが弱かった。「護られなかった者たちへ」は震災テーマの社会派エンターテインメントとしてよく出来ているが後半のお涙狙いの盛り上げが残念だったかな。
「キネマの神様」はお約束の山田洋二枠であり松竹100周年記念作品のお祝いノミネートなので論外、映画ネタでもいつもの懐古主義の陳腐な展開で、やはり志村けんで観たかったな(松竹枠で獲ってこの賞が地の果てに落ちるところも見てみたいが・・笑)。
「キネマの神様」
△「孤狼の血 LEVEL2」
〇「すばらしき世界」
◎「ドライブ・マイ・カー」
「護られなかった者たちへ」
⇒「ドライブ・マイ・カー」
主演男優もスタッフ陣も総なめしているので当然の結果だし、さすがに今回は誰も異論は無いはず。ただやはり鑑賞力が無いと3時間退屈で本当の凄さが分からないので、最優秀作品と言っても万人向けの評価は得られないだろう。坂上忍が「今の勢いから見ると「ドライブ・マイ・カー」ですかね」と何回か言っていたが、いや「勢い」で評価されているレベルでは無いのですが。。
しかし改めて「すばらしき世界」にも獲らせてあげたかった、昨年の枠なら間違いなかったのに。結局最優秀は一つも獲れなかったのが残念で仕方ない(主演男優賞が惜しかった)。「キネマの神様」は放送ではわずかな作品紹介のみで何一つ印象に印象に残ってないのが苦笑・・
【監督賞】
これも間違いなく濱口監督で決まりだろう、長年追ってきたので嬉しいのだが、当初から世界基準で今さら日本アカデミー賞の舞台で喜ぶ姿を観るのは複雑な気持ちになりそう。西川監督も初の原作ものを見事に自分なりの映像化していて、まだ最優秀は獲ってないので個人的には獲らせてあげたいところ、次回こそは期待したい。
白石監督もすっかり常連になって、さすがの安定感だけど獲るならこの作品では無い方がいいし、本人もそう思っているのでは。瀬々監督も今作への情熱は感じられたが監督賞としての受賞は厳しいかな、日アカで喜ぶタイプでは無いだろうし。そして成島監督はこちらは山田監督では無くてバランスを取ったのか?、作品としても出来が良いとは言い難く他と比べてもほぼ無いかな。
「瀬々敬久」(護られなかった者たちへ)
「成島出」(いのちの停車場)
〇「西川美和」(すばらしき世界)
◎「濱口竜介」(ドライブ・マイ・カー)
⇒「濱口竜介」
会場に来ていて受賞スピーチをしていたが(放送時間が短すぎる・・)、昔から応援していたので本当に日本全体でも認められたのだなあと思うと嬉しい気持ちの方が強かった(キネ旬は常連でもその作家性から日本アカデミー賞最優秀を獲るとは思っていなかった)。
他のベテラン監督たちは本音でどう思っているのか聞いてみたい、大手から吉永小百合の主演で濱口監督にオファーが来ないことを願いつつ(まあ世界中から殺到しているので受けることは無いだろうが)。
【主演男優賞】
こちらは役所広司と西島秀俊で迷うところだが、やはり演技という面では役所広司が抜き出ているかな。役所広司でしか成り立たない怖さと優しさと不器用さの同居と切り替え、感情の機微を見事に表情や背中で体現しているところが素晴らしい。西島秀俊も役への入り込みが完璧で真実に向き合えない弱さから徐々に変化していく繊細さが見事だった、世界での男優賞受賞も納得。
佐藤健も熱演で頑張っていて「るろうに剣心」など様々な役どころを器用に演じ分けていたが、上の二人を抜けるまでではないかな(テレビ的には可能性ありだが)。菅田将暉はさすがの安定感だがこういう役は見慣れていて突出するのが難しいかも、それに話題賞の方を獲っているので。松坂桃李も前作とは違った主役ぶりは見事だが鈴木亮平のインパクトが強すぎて少し可哀そうな面もあったかな。
△「佐藤健」(護られなかった者たちへ)
「菅田将暉」(花束みたいな恋をした)
○「西島秀俊」(ドライブ・マイ・カー)
◎「役所広司」(すばらしき世界)
⇒「西島秀俊」
こちらでしたか・・、外れはしたが当然納得いくレベルだし、西島秀俊は筋金入りのシネフィルで映画への愛は半端ないのでようやく獲れたのは本当に良かった。「役所広司」は既に何回も獲っているので少し考慮はあったのかも?、あと見落としていたが、いま西島秀俊は日テレのドラマ「真犯人フラグ」の主役だったのも少しは関係あったのかも?(いや実力なのは間違いないけど)
他のみんながスーツでビシッとしている中、上にボア付きブルゾンを羽織る菅田将暉がらしくて笑った(3回連続ノミネートで松坂桃李と共にすっかりベテラン)。役所広司の忍ばせたポケットチーフがウクライナのカラーになっていたのはさすが格が違った。
【主演女優賞】
まともな映画賞なら確実で個人的にも1番の尾野真千子「茜色に焼かれる」と2番の瀧内公実「由宇子の天秤」が無視されるという信じられないノミネート。昨年も水川あさみが無視されるなど作品が独立系だとノミネートされないのは本当に何とかして欲しい。
まあ、この中でいけば難しいが、有村架純になるだろうか、リアルなあるある会話劇の中、出会いから絶頂期そして別れまでの変化を繊細に演じきっていた、個人的にもそろそろ獲って欲しい気持ちもあり。次はけっこう何故かノミネートされる天海祐希にそろそろ獲らせる力が働きそうな気もする、この手の作品のコメディアンヌとして安定感はあるけど尾野真千子を超えるのはありえない。
松岡茉優は本当に上手いし獲る実力はあるけど、なぜ今作でノミネートされたのかが謎で本人もコレジャナイ感は持っているはず。永野芽郁は良い役でハマっていたと思うけど、さすがにまだ早い感あり(「地獄の花園」とのGAPは良かった)。そして毎回問題の吉永小百合枠だが、このノミネート枠内だと獲る可能性もあるのが辛いところ、毎回同じような若作りの美味しい立派な役どころは止めませんか?後進のために自ら辞退・譲れませんか?
〇「天海祐希」(老後の資金がありません!)
◎「有村架純」(花束みたいな恋をした)
「永野芽郁」(そして、バトンは渡された)
「松岡茉優」(騙し絵の牙)
△「吉永小百合」(いのちの停車場)
⇒「有村架純」
この枠ではやはり妥当でした、いろんな作品にたくさん出ている中で毎回真摯に役に向き合って努力してきたのが感じられての今なので、本当に報われて良かったと思う(髪のアップと衣装が個人的には今一つだったけど)。
松岡茉優が久しぶりに見たけど顔も含め心配したより戻っていたので少しホッとしつつ、永野芽郁と吉永小百合が並んでいるのはやはり違和感もあり(祖母と孫)。正直、尾野真千子や瀧内公美がちゃんとノミネートされて正式にこの場で認められることを祈りたい。。
【助演男優賞】
うーん、岡田将生「ドライブ・マイ・カー」を無視しているのが意味が分からない、あの車中シーンは彼ならではのベストアクトでまさに助演にふさわしいのに。となると、ここは間違いなく鈴木亮平で決まりだろう、他の主要映画賞もほぼ独占でとてつもない狂気と極悪非道ぶりの強烈なキャラクターで主役と言っていいくらいの存在感だった(同時期の優しいドラマの役柄とのGAPが凄い)。
そして仲野大賀や村上虹郎の若手実力派がようやく主要作品に絡んでノミネートされたのは嬉しく、今後に期待していきたくなる、二人とも主人公との間に立つ語り部として板挟みの苦悩を見事に演じていた。阿部寛はまあ助演としては珍しいのでノミネートされた感があり、いつもの阿部ちゃんの役と演技だった、堤真一もなぜこの作品でノミネートされたされたのか謎で、表と裏の顔の演じ分けなんて昔からやってるしもっとふさわしい作品があったのに。
「阿部寛」(護られなかった者たちへ)
〇「仲野太賀」(すばらしき世界)
⇒「鈴木亮平」
これは固いし当然の結果、誰もがそう思っていたはず。前作の役所広司が抜けた穴を埋めるために全員での気合が良い方向に出たのが良かった、改めて白石監督も「仁義なき戦い」の2作目も主人公より敵役が主役になっていたのを意識していたのだと思った。たまに永野芽郁が一緒に抜かれていたのが昔共演した「俺物語!」を思い出して懐かしくなった(二人とも成長したのだなあ)。
ようやくノミネートされた仲野大賀の役所広司さん話や村上虹郎の衣装も個性が出ていて良かった。
【助演女優賞】
助演は昨年も酷かったが今年も酷い、なぜいつもこうなるのか何の力が働いたらこうなるのか?誰か教えて欲しい(ノミネートされた人には罪はないのであしからず)。助演男優に続き、三浦透子「ドライブ・マイ・カー」を無視しているのが意味が分からない、寡黙ながら抱え込んだ苦悩と主人公へ徐々に与えていく影響の表現が見事なのに、なぜ新人賞扱い止まりとなるのか、新人の訳がないのに(昨年の蒔田彩珠と同様で新人の定義が適当過ぎる)。
まあ、この中で言えば清原果耶しかないだろう、今年は朝ドラのモネをはじめ大活躍で、うちに抱え込んだ演技が本当に素晴らしく既にベテランの域に達しているレベルで、今後も主演をはじめ受賞していくはず。次はもう誰でもいいが、広瀬すずか、すずちゃんも上手いし好きだけどこの作品で獲るのは違う(毎回常連にするのも本人のためにも止めて欲しい)。石原さとみも頑張ってはいたけどすいません、やはりドラマで見る方が合ってると思う。
草笛光子は正直、吉永小百合のバランスを取るために入れたベテラン枠で(昨年は桃井かおりだった)今回は違う(過去作での素晴らしさは言わずもがな)。そして、西野七瀬はテレビ枠(もと乃木坂)で広島弁のママ役を頑張ってはいたレベル、それでなぜかこちらは新人賞も獲って助演もノミネートされるという理不尽さ。
△「石原さとみ」(そして、バトンは渡された)
◎「清原果耶」(護られなかった者たちへ)
「草笛光子」(老後の資金がありません!)
〇「広瀬すず」(いのちの停車場)
⇒「清原果耶」
この枠では当然の結果で誰も異論ないはず、黒のドレスで身長もあるので落ち着いた雰囲気でとてもまだ20歳とは思えない。映画も朝ドラ・モネも震災を扱い当日も3/11ということで、それらを踏まえた受賞コメントも素晴らしく大物感しかない、今後必ず主演女優賞も獲っていく存在になるのは間違いない。
石原さとみは別室からだったが体調優先するなら参加含めてもう少し考えないと、草笛光子が87歳での初ノミネートだが人間性から滲み出る美しさが圧倒的で、やはり同じ壇上に西野七瀬が並ぶのは本人含めて可哀そうに見えてしまった・・
【アニメーション作品賞】
ここでようやく東宝が3つノミネートと強く、興行収入もシンエヴァと呪術廻戦は軽く100億越えとケタ違い・・個人的には25年の歴史の重みや社会影響度も踏まえて「シン・エヴァンゲリオン」が獲るべきだと思うが、話題賞で受賞されてしまったので、ごり押ししていた日テレ絡みが強い忖度も入って「竜とそばかすの姫」が獲るのでは(むしろ外れて欲しいが・・音楽賞だけでも十分はなず)。
「漁港の肉子ちゃん」は明石家さんまと日テレ枠なのかな(昨年のプペルと同様)。「アイの歌声」は良い作品だったのノミネートは納得。
「アイの歌声を聴かせて」
「漁港の肉子ちゃん」
△「劇場版 呪術廻戦0」
〇「シン・エヴァンゲリオン劇場版」
◎「竜とそばかすの姫」
⇒「シン・エヴァンゲリオン劇場版」
これは予想した通りだが本当に外れて良かった、「竜とそばかすの姫」の日テレのごり押し感が激し過ぎたので心配し過ぎたかな。興行収入や出来栄えでもエヴァの方が上だし、世代的なファンも多かったのがちゃんと評価されたのだろう。
細田守監督は過去作は全て日本アカデミー最優秀賞を獲っていたのだが、今回は相手が悪かったのもあり日テレ枠でも獲れなかった、やはり脚本はプロに任せて画と演出に専念すべきでは。
【外国作品賞】
「テーラー人生の仕立て屋」(このノミネートは一番謎すぎるが、松竹枠だからかな)以外はまあ妥当な選出なのかな、作品の質的にも本家アカデミー賞に弱いこともあり「ノマドランド」が強いはず。「DUNE」は完全IMAX仕様の映画館で観なければ意味なしで「007」のダニエルクレイグのラスト作として今年の洋画を救ってくれた作品だったのでは。
「テーラー 人生の仕立て屋」
◎ 「ノマドランド」
「ミナリ」
△「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」
⇒「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」
これは全く想定外で本気で外しました、ダニエル・クレイグの007ラストに花を持たせましたか・・確かに日本での興行収入で映画館にはダントツで貢献した作品でもあった。「ノマドランド」はアカデミー賞受賞作でもさすがにエンタメ要素が少なく地味だったかな。
【脚本賞】
これは作品賞とリンクするだろうが、間違いなく「濱口竜介/大江崇充」(ドライブ・マイ・カー)で決まりだろう。あの村上春樹の短編をエッセンスを残しつつ、オリジナルのチェーホフの演劇とのメタ構造で一切無駄のない3時間もの会話劇に仕上げたまさに世界レベルの脚本の完成度でした。西川美和の初の原作ものから自分色に染めなおした脚本も素晴らしかった。
〇「西川美和」 (すばらしき世界)
◎「濱口竜介/大江崇充」 (ドライブ・マイ・カー)
「林民夫/瀬々敬久」(護られなかった者たちへ)
「山田洋次/朝原雄三」 (キネマの神様)
⇒「濱口竜介/大江崇充」 (ドライブ・マイ・カー)
これは間違いない、他の映画賞含めカンヌもアカデミーも脚本賞は受賞している世界レベルの脚本(脚色)だった。どうしてこんな脚本が書けるのか(それも毎回)頭の中を見てみたい・・
【編集賞】
50時間分の映像素材を3時間に無駄なくベストな流れで組み立てあげた「ドライブ・マイ・カー」にあげたいところ。
〇「石島一秀」(キネマの神様)
△「大畑英亮」(いのちの停車場)
「加藤ひとみ」(孤狼の血 LEVEL2)
「早野亮」(護られなかった者たちへ)
◎「山崎梓」(ドライブ・マイ・カー)
⇒「山崎梓」(ドライブ・マイ・カー)
これも順当、濱口監督のイメージ通り一切無駄のないつなぎ・編集だったのでは・・3時間飽きさせず引き込まれてあっという間だった(人によっては無駄なシーンで長いと感じるかもしれないが)。
【撮影賞】
個人的には「ドライブ・マイ・カー」のカメラワークや構図、色合いまで作品テーマともガッチリ一致していて素晴らしかったが、ここは「すばらしき世界」に獲らせておくような気がする。
◎「笠松則通」(すばらしき世界)
「加藤航平」(孤狼の血 LEVEL2)
〇「西宮秀俊」(ドライブ・マイ・カー)
「近森眞史」(キネマの神様)
△「鍋島淳裕」(護られなかった者たちへ)
⇒「西宮秀俊」(ドライブ・マイ・カー)
やはり、これも順当に「ドライブ・マイ・カー」ですよね。すいません、予想コメント通り個人的には西宮さんのカメラが大好きで絶賛していたのに、あえてバランスを考慮してしまいました。ドライブのシーンが多く、実際の車中での撮影や田舎の風景と室内の細やかな色味の違い、すばらしき撮影の世界でした。
【照明賞】
こちらも「ドライブ・マイ・カー」か「すばらしき世界」か悩ましいところ。
〇「宗賢次郎」(すばらしき世界)
△「川井稔」(孤狼の血 LEVEL2)
◎「高井大樹」(ドライブ・マイ・カー)
「土山正人」(キネマの神様)
「かげつよし」(護られなかった者たちへ)
⇒「高井大樹」(ドライブ・マイ・カー)
これも順当、上の撮影とセットで、全てにおいて素晴らしかった。
【美術賞】
「孤狼の血」が前作に続き細かいところまで作り上げられていたと思うが、唯一のノミネート「燃えよ剣」に獲らせておくかも。
△「西村貴志」(キネマの神様)
◎「原田哲男」(燃えよ剣)
「福澤勝広」(いのちの停車場)
「松尾文子」(護られなかった者たちへ)
⇒「原田哲男」(燃えよ剣)
これは迷ったけど、正直よく当たったなという感じ、唯一のノミネートで時代劇という点も大きかったのかな。
【録音賞】
「ドライブ・マイ・カー」か「孤狼の血」か悩ましいところ。
◎「伊豆田廉明(録音)/野村みき(整音)」(ドライブ・マイ・カー)
○「浦田和治」(孤狼の血 LEVEL2)
△「髙田伸也」(護られなかった者たちへ)
「長村翔太」(キネマの神様)
「 藤本賢一」(いのちの停車場)
⇒「伊豆田廉明(録音)/野村みき(整音)」(ドライブ・マイ・カー)
これも順当、「ドライブ・マイ・カー」本当に強し、個人的には石橋英子「ドライブ・マイ・カー」の音楽も心地よくシーンの意味を表現していて素晴らしかった。
【音楽賞】
映画的には声優も含め中村佳穂を抜擢してヒットさせて紅白まで出場した「竜とそばかすの姫」が固いかな、日テレごり押しもあるけど。
◎「岩崎太整/Ludvig Forssell/板東祐大」(竜とそばかすの姫)
○「岩代太郎」(キネマの神様)
△「大友良英」(花束みたいな恋をした)
「松村崇継」(護られなかった者たちへ)
⇒「岩崎太整/Ludvig Forssell/板東祐大」(竜とそばかすの姫)
ここも順当かな、正直「竜とそばかすの姫」の見どころは映像と音楽だけの映画だったので、個人的には坂東佑大の音楽は大好きで天才だと思っていることもあり。
【新人俳優賞】
また言うけど三浦透子がなぜ新人賞で西野七瀬が助演にもノミネートされるのか定義を明確にして欲しい。磯村勇斗や宮沢氷魚(こちらも新人ではない)やFukaseもとても良かったけど、この並びなら藤原季節や金子大地、河合優美や片山友希や伊藤万理華などもノミネートされるべき。しかし、今年は一切ジャニーズがいなかったのがビックリ(キムタクも岡田准一もいなかった)。
「今田美桜」(東京リベンジャーズ)
「三浦透子」(ドライブ・マイ・カー)
「磯村勇斗」(ヤクザと家族 The Family)(劇場版『きのう何食べた?)
「宮沢氷魚」(騙し絵の牙)
⇒改めて壇上に並んだのを見て「三浦透子」だけ落ち着きぶりもコメントも別格だった。もし助演女優にノミネートされていたら「清原果耶」が獲れなかった可能性もあり、A事務所の力が働いたとは絶対に思いたくないのだが・・
【話題賞】
オールナイトニッポンの投票ということで何だかなあ・・ここで菅田将暉が選ばれているので、主演男優賞とのダブル受賞は確実に無いかな。
作品部門もシン・エヴァがここで選ばれているので(むしろこちらで獲らせている?)、アニメ部門はやはり「竜とそばかすの姫」だろうな。
作品部門: 「シン・エヴァンゲリオン劇場版」
俳優部門: 菅田将暉「花束みたいな恋をした」
⇒菅田将暉へのプレゼンターとして、最後に小栗旬が全部持って行ったか・・まさか菅田将暉が演じているドラマ「ミステリという勿れ」の久能整のアフロ・マフラーコスプレで現れるとは・・