昨年は3月末3/28でしたが今年は3/13の開催ということで、直前だけど予想しておきます(昨年はウィル・スミスの平手打ちと「ドライブ・マイ・カー」の印象が強すぎた)。
今年はバラエティに富んだラインナップで何と言っても「トップガン」や「アバター」などのいわゆるハリウッド大作系がノミネートされているのが特徴的、今まではどちらかと言うと映画通・批評家好みの地味な作品が多かったが、近年は徐々に分かりやすい作品も増えてきている。
注目は前哨戦をほぼ制してきて勢いにも乗っている本命の「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」(長いので今後の表記は「エブエブ」にする)、役者陣も含めてどこまで受賞できるかに注目。とは言え「トップガン」にも作品賞の可能性は十分にあるので最後まで分からないはず。ノミネート数で見ると「エブエブ」最多11部門、「イニシェリン」9部門、「西部戦線」9部門、「エルヴィス」8部門、「フェイブルマンズ」7部門、「トップガン」6部門、「TAR」6部門となっている。
短編やドキュメンタリー以外の主要作品(作品賞は全部)はほぼ観ることが出来たので大体の部門は自分で予想できるが、けっこう固そうな演技賞にサプライズがあるかどうか?、アメリカ以外の海外会員の投票の行方で大きく左右されるので最後まで分からない。あとはインド初のノミネートとなった歌曲賞「ナートゥ・ナートゥ」(RRR)が受賞なるか?含めて現地での高速ダンスで盛り上がるのは間違いない。
本命◎、対抗馬〇、大穴△
【作品賞】
本命は最多11部門にノミネートされた「エブエブ」だろう、斬新な独創性でカオスながらお下品で笑って泣けるSF家族物語、本来不利と言われるSF&アクション&コメディの3つの要素が主体の作品だけに受賞したら本当に画期的。映画会社A24の最大の興行収入となったが、マーベルと違って同じマルチバースでも低予算でここまで面白い映画が作れること、俳優・制作陣ともにアジア系の人材が多いことにも応援したくなる。多様性の方向性も合致して前哨戦ではほぼ勝ち続けており好き嫌いは分かれる作風だがそこまでアンチが多くないのもあり(ただ昔ながらの古い会員は本当についていけるのか?)
次は「トップガン マーヴェリック」で、世界の映画館や業界を救って大成功しただけにみんな大好きで満遍なく票が稼げるはず(続編という足かせはあるが)、いわゆるエンタメ娯楽大作としてノミネートされたのも珍しくここまで大衆的な作品が受賞すれば(ロードオブザリング3以来?)盛り上がりも最高潮になるだろう、アカデミー賞の視聴率低下までも救えるか?。「西部戦線異状なし」は原作のドイツでのリメイクでNetflix配信作、ウクライナでの戦争の残忍さや無意味さを最高レベルの映画技術で訴えかけてくるが、Netflix作品でドイツ語とオリジナルが作品賞を獲っているのがハンデとなるか。「イニシェリン島の精霊」はさすがのマーティン・マクドナー監督らしい批評家受けは抜群の出来だがm前作「スリー・ビルボード」に比べるとやや暗くて地味で分かりやすくはないので票が割れるかも。
「フェイブルマンズ」はスピルバーグ監督の自伝的ドラマで映画愛に溢れていて映画好きにはたまらない一作だが、意外と複雑な家庭環境が赤裸々に描かれていたのはビックリで興行成績が振るわなかったのが痛いか。「エルヴィス」はプレスリー伝説の裏側を描いたゴージャスな演出で魅せてくれるが男優賞の方に期待、「TAR」はトッド・フィールド監督16年ぶりの新作だけに作家性あふれる傑作だがこちらも女優賞の方に期待、「ウーマン・トーキング」はサラ・ポーリー監督らしい女性の視点でのアンサンブルが見事な会話劇だが脚色賞の方に期待、「アバター2」は圧倒的な映像表現が素晴らしい歴代興行収入3位となる超大ヒットだが話の内容が弱いので技術部門各賞に期待、「逆転のトライアングル」はカンヌのパルムドールを2作連続で獲った格差社会を痛烈に皮肉ったブラックユーモアあふれるオストルンド監督にしては分かりやすい娯楽作だが受賞までは厳しいかな。
『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』
『イニシェリン島の精霊』
『ウーマン・トーキング 私たちの選択』
◎『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』
『エルヴィス』
『逆転のトライアングルー』
△『西部戦線異状なし』
『TAR/ター』
〇『トップガン マーヴェリック』
『フェイブルマンズ』
〇スティーヴン・スピルバーグ 『フェイブルマンズ』
◎ダニエル・クワン、ダニエル・シャイナート『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』
トッド・フィールド『TAR/ター』
△マーティン・マクドナー『イニシェリン島の精霊』
リューベン・オストルンド『逆転のトライアングル』』
◎アンジェラ・バセット『ブラックパンサー ワカンダ・フォーエバー』
〇ケリー・コンドン『イニシェリン島の精霊』
△ジェイミー・リー・カーティス『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』
ステファニー・シュー『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』
基本的には作品賞とリンクしていて圧倒的な新しさの「エブエブ」が強いと思うが、かなり独占してしまうのもあり、ここは敢えて「イニシェリン」の方にしたい、劇作家で舞台出身のマクドナー監督らしい大人の会話劇が本当に見事だった。オストルンド監督のオリジナル脚本もタイトルどおり逆転のトライアングルになるかも?
スティーヴン・スピルバーグ、トニー・クシュナー『フェイブルマンズ』
〇ダニエル・クワン、ダニエル・シャイナート『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』
トッド・フィールド『TAR/ター』
◎マーティン・マクドナー『イニシェリン島の精霊』
△リューベン・オストルンド『逆転のトライアングル』
ここも固いか>「ウーマン・トーキング」のサラ・ポーリー監督が、2018年の同名小説を南米ボリビアでの連続女性暴行事件をベースに見事に脚色しており、サラ監督自身も熱心な活動家だけにウーマンパワーの結集からの問題提起が素晴らしい。過去に「アウェイ・フロム・ハー」でもノミネートされており今回2度目で受賞となるか。 「西部戦線」もテーマを絞ってオリジナルとは少し変えてきて良かったが受賞までは厳しいかな、「トップガン」は脚色賞にノミネートされたのはこのレベルの作品と認められて凄いと思う。
アーレン・クルーガー、エリック・ウォーレン・シンガー、クリストファー・マッカリー/原案:ピーター・クレイグ、ジャスティン・マークス『トップガン マーヴェリック』
〇エドワード・ベルガー、レスリー・パターソン、イアン・ストーケル『西部戦線異状なし』
△カズオ・イシグロ『生きる LIVING』
◎サラ・ポーリー『ウーマン・トーキング 私たちの選択』
ライアン・ジョンソン『ナイブズ・アウト:グラス・オニオン』
ここは「ピノッキオ」で間違いない、鬼才ギレルモ・デル・トロ監督による新たな切り口でのダークな世界観でミュージカル形式のストップモーションアニメとして異例の完成度、15年を費やしたこだわりはNetflixの資金力のおかげ、「シェイプ・オブ・ウォーター」で作品賞を獲っているのでアニメでも受賞するのは快挙なのでは。「Marcel the Shell with Shoes On」はA24の配給なので気になるところ、「私ときどきレッサーパンダ」も多様性や様々な悩みを吸収した素晴らしい作品だった。
ここは「エルヴィス」のギンギンギラギラ衣装が強いかな。ブラックパンサーもなかなかのデザインだったけど。
ここは完璧に本人を再現したヘアも含めた「エルヴィス」が全体的に優勢かな、「ザ・ホエール」の信じられない特殊大肥満スーツにも度肝を抜かれたけど。
ここはさすがに「トップガン」が獲らないと、映画館での臨場感あふれる体験はまさにこの音響もあってこそ、「西部戦線」も戦争の最前線に立たされている緊張感や激しさが伝わってきた。
ここでいよいよ「ナートゥ・ナートゥ」の登場、前哨戦や人気具合から見ても大本命で、会場での高速ダンスの盛り上がりが目に浮かぶよう。日本でもいまだ大人気で米国でも映画賞を獲得していて、本来ならば国際映画賞にノミネートされるべきだが何故か母国インドで代表に選出されなかったので(イギリスに配慮した>まさかね)、この歌曲賞のみとなった。ただ選ばれればインド映画として史上初のアカデミー賞受賞となる記念日となるかどうか? あとはリアーナの「リフト・ミー・アップ」やレディ・ガガの「ホールド・マイ・ハンド」は普通に曲として良く聞いた。
『アプローズ』(私たちの声)
『ディス・イズ・ア・ライフ』(エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス)
◎『ナートゥ・ナートゥ』(RRR)
〇『ホールド・マイ・ハンド』(トップガン マーヴェリック)
『ガチョウの言う通り、この世は偽物かも アン・オストリッチ・トールド・ミー・ザ・ワールド・イズ・フェイク(原題)』
〇『氷を売る親子 アイス・マーチャンツ(原題)』
『空飛ぶ水兵 ザ・フライング・セーラー(原題)』
◎『ぼく モグラ キツネ 馬』
△『私のディック時代 マイ・イヤー・オブ・ディックス(原題)』
◎『エレファント・ウィスパラー:聖なる象との絆』
△『ストレンジャー・アット・ザ・ゲート(原題)』
『ハウ・ドゥ・ユー・メジャー・ア・イヤー?(原題)』
〇『ホールアウト(原題)』
『マーサ・ミッチェル -誰も信じなかった告発-』