昨年は4月末でしたが今年は3月末3/28の開催、直前だけど予想しておきます。
今年は多くの劇場が再開して昨年延期になった大型・注目作も公開されたが、ノミネート結果は意外と今年も地味めなラインナップとなった。そして、授賞式はバーチャル形式、試写会もオンラインでリモート審査となったことがどう影響してくるか、今年の予想も難しい。
注目は前哨戦を牽引してきた本命の「パワー・オブ・ザ・ドッグ」で、Netflixの配信作がついに作品賞を受賞して歴史が作られるかどうか? あの「ROMA ローマ」も前哨戦では圧勝してたのに逃した過去もあるが、そろそろ配信作も認められるのでは。
短編やドキュメンタリー以外の主要作品はほぼ観ることが出来たので大体の部門は自分で予想できるが、演技賞はまたサプライズがありそうで難しい。あとは4部門ノミネートされた「ドライブ・マイ・カー」がどこまで健闘できるか、受賞スピーチ含め楽しみで仕方がない。
本命◎、対抗馬〇、大穴△
【作品賞】
本命は最多12部門にノミネートされたNetflix配信「パワー・オブ・ザ・ドッグ」だとは思うが、Apple配信「コーダ あいのうた」もPGA(全米プロデューサー組合賞)やSGAアワードを獲っていて勢いがあり、どちらが獲っても初の配信作品の受賞となる。それぞれ男性性の呪縛やろうあ者というジェンダー多様性にもふさわしい。「コーダ」は女性監督で障がい者もので万人受けだけど、フランス映画のリメイク作品で監督賞ノミネート無しというのがどう影響するか。
未だ配信作品への拒否反応が強い場合は「ベルファスト」か「ウエスト・サイド・ストーリー」に流れるかもしれない。「ベルファスト」は北アイルランド紛争下の少年の物語で現在のウクライナを連想させるメッセージ性もあるが、スケール感や前哨戦含め勢いが弱いのが難点。「ウエスト」は過去1961年に受賞している作品のリメイク(スピルバーグ11作目!の作品賞ノミネート)、「DUNE」は続編ありの途中の作品でメインは技術賞で多く獲るだろう、「ドリーム」は王道アメリカンドリームものだがウィル・スミスがメイン、「ドント」はこういうブラックユーモア作品も好きだけど今回は違う、「ナイトメア」「リコリス」も各巨匠の作品として最高傑作まではいかない、これらの理由で厳しいと思われる。
日本映画としては史上初めてノミネートされた「ドライブ・マイ・カー」も非英語作品として評価は高く「喪失と再生」のテーマで(こちらも男性性の呪縛や手話なども含む多様性あり)可能性は十分にあるとは思うし期待したい。6つの批評家賞では作品賞を獲って批評家受けは良いが、さすがに昨年の「パラサイト」のような勢いや娯楽性は無く2年連続のアジア作品での受賞は厳しいのが実態かな。
『ウエスト・サイド・ストーリー』スティーブン・スピルバーグ監督
〇『コーダ あいのうた』シアン・ヘダー監督
『DUNE/デューン 砂の惑星』ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督
△『ドライブ・マイ・カー』濱口竜介監督
『ドリームプラン』レイナルド・マーカス・グリーン監督
『ドント・ルック・アップ』アダム・マッケイ監督
◎『パワー・オブ・ザ・ドッグ』ジェーン・カンピオン監督
『ナイトメア・アリー』ギレルモ・デル・トロ監督
『リコリス・ピザ』ポール・トーマス・アンダーソン監督
△アンドリュー・ガーフィールド『tick, tick… BOOM! : チック、チック…ブーン!』
◎ウィル・スミス『ドリームプラン』
ハビエル・バルデム『愛すべき夫妻の秘密』
〇ベネディクト・カンバーバッチ『パワー・オブ・ザ・ドッグ』
〇オリヴィア・コールマン 『ロスト・ドーター』
クリステン・スチュワート『スペンサー ダイアナの決意』
◎ジェシカ・チャステイン『タミー・フェイの瞳』
△ニコール・キッドマン『愛すべき夫妻の秘密』
ペネロペ・クルス『Parallel Mothers』
基本的には作品賞とリンクしており脚色賞と分かれるが、この中だと「ベルファスト」になるだろうか、現在の世界情勢も踏まえ作品・監督どちらも獲れなければ脚本で獲りたいところ。「ドント・ルック・アップ」のアダム・マッケイらしさ全開の面白さや「リコリス・ピザ」のPTA節炸裂の2作品も獲ってもおかしくない・・個人的には脚本脚色で5回目ノミネートのPTAにそろそろ獲らせてあげたい。
△アダム・マッケイ『ドント・ルック・アップ』
エスキル・フォクト、ヨアキム・トリアー『The Worst Person in the World』
ザック・ベイリン『ドリームプラン』
○ポール・トーマス・アンダーソン『リコリス・ピザ』
ここも実際はジェーン・カンピオンが本命で強いとは思う、作品賞とリンクして映画の完成度は非常に高い。個人的な願望と可能性としては十分にありえる濱口・大江コンビに是非とも日本史上初の受賞をしてもらいたいので敢えて。あの村上春樹の短編をらしさを残しながら劇中劇のチェーホフも連動させ完全なオリジナル作として昇華させた素晴らしさ、カンヌでも脚本賞を獲っているし、日本語のハンデも決して負けてはいない。「コーダ」もフランス映画のリメイクとして作品賞の代わりにこちらを獲る可能性もあり。
△シアン・ヘダー『コーダ あいのうた』
〇ジェーン・カンピオン『パワー・オブ・ザ・ドッグ』
ジョン・スペイツ、ドゥニ・ヴィルヌーヴ、エリック・ロス『DUNE/デューン 砂の惑星
◎濱口竜介、大江崇允『ドライブ・マイ・カー』
マギー・ジレンホール『ロスト・ドーター』
◎『ドライブ・マイ・カー』(日本)
『The Hand of God』(イタリア)
△『Flee』(デンマーク)
〇『The Worst Person in the World わたしは最悪』(ノルウェー)
ここは2強の争いになると思う、王道ディズニーの多様性を意識した本格ミュージカルの芸術的な演出での「ミラベルと魔法だらけの家」か、配信限定の不利さはあるがストーリーの面白さや斬新で独創性あふれる「ミッチェル家とマシンの反乱」か。個人的にはディズニー&ピクサー作品は常勝すぎるので(今回も3作品)、「スパイダーバース」を更に発展させた映像表現でアニメ最高峰のアニー賞を受賞した「ミッチェル」を推したい。
『あの夏のルカ』
△『Flee』
◎『ミッチェル家とマシンの反乱』
〇『ミラベルと魔法だらけの家』
『ラーヤと龍の王国』
全体的に「タミー・フェイの瞳」が強いか、ジェシカ・チャステインの怪演を見事なメイクでサポートしていた。「クルエラ」のエマ・ストーンも良かったけど。「ハウス・オブ・グッチ」はむしろ衣装デザイン賞でノミネートされなかったのは痛い。
これも映画移管のIMAXでの圧倒的な音の世界を体験させられた「DUNE/デューン 砂の惑星」だろう。砂の惑星の音は本当にこういう音なんだろうと実感させられた。あとはミュージカルで音が直結する「ウエスト・サイド・ストーリー」かな。
「ドリームプラン」のビヨンセの力強い歌声や「ミラベルと魔法だらけの家」の楽曲も印象に残っているが、やはり会場で「ノー・タイム・トゥ・ダイ」をビリー・アイリッシュが歌うのを見てみたいところ・・
△“Be Alive”『ドリームプラン』
〇“Dos Oruguitas” 『ミラベルと魔法だらけの家』
“Down to Joy”『ベルファスト』
◎“No Time To Die”『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』
“Somehow You Do”『Four Good Days』
〇『Ala Kachuu – Take and Run』
△『The Dress』
◎『The Long Goodbye』
『On My Mind』
『Please Hold』
『Affairs of the Art』
〇『Bestia』
『ボクシングバレー』
◎『ことりのロビン』
△『The Windshield Wiper』
『Ascension』
△『Attica』
〇『Flee』
◎『サマー・オブ・ソウル(あるいは、革命がテレビ放映されなかった時)』
『燃え上がる記者たち』