映画レビューでやす

年間500本以上観る会社員のありのままのレビュー

洋画:人間ドラマ

「ナイチンゲール」 ★★★★ 4.0

◆「トゥルーグリッド」+「ブリムストーン」+「レヴェナント」差別・暴力に対する等身大の女性の復讐劇、自由に羽ばたいて歌い奏でーる鳥の歌、ビリー・ジーンときた 植民地時代のオーストラリア、夫と子供を鬼畜イギリス軍将校に殺され集団陵辱されたアイ…

「レ・ミゼラブル」 ★★★★☆ 4.7

◆「あぁ、無情」「世の中には悪い草も悪い人間もない、ただ育てる者が悪いだけだ」衝撃ラストの投げかけと怒りと憎しみのスパイラル、アレ・ミセラレル、コレ・ミゼラブル ドキュメンタリー畑で鍛え上げたラ・ジリ監督の長編デビュー作品、自身の出身地であ…

「イエスタディ」 ★★★☆ 3.7

◆もしもボックス「ビートルズがいなかったら」世界は大きく変わる、ALL YOU NEED IS LOVE!等身大の幸せが一番、ひたすら曲の良さとリリーの可愛さを堪能すべし 「もし、自分だけがビートルズを知っている世界になってしまったら…」という音楽をやっている人…

「パラサイト 半地下の家族」 ★★★★★ 5.0

◆「人は人の上に下に人を造らず、水は上から下へ流れる」大貧民が革命・浮遊できるか?自分の匂いと立ち位置を再確認しつつこの映画にパラサイトされる、今年もポン! カンヌ・パルムドール受賞に続きアカデミー賞・作品賞にまでノミネートされた今作、傑作…

「家族を想うとき」 ★★★★☆ 4.6

◆「ララララララ、言葉にできない♩」働き方改革なんて幻想、働けど働けど我が暮らし楽にならざりけり じっと手を見る・・ズブズブの蟻地獄から蜘蛛の糸を掴めるのか? 「麦の穂をゆらす風」「わたしは、ダニエル・ブレイク」と2度にわたり、カンヌ国際映画祭…

「ロケットマン」 ★★★★ 4.0

◆ぶっ飛んだ人生はロケットマン、見たことのない世界を魅せてくれる、自分らしさを愛することの難しさと大切さ「How wonderful life is while you’re in the world♪」 グラミー賞を5度受賞したイギリス出身の世界的レジェンド歌手「エルトン・ジョン」の壮絶…

「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」 ★★★★☆ 4.6

◆昔々ハリウッドで・・ブラピとディカプリオの最高のブロマンスがありましたとさ、映画の力や未来を信じれば歴史は変えられる!優しいロマンチックなタラちゃんです~ タランティーノ監督のハリウッド映画への愛情が伝わってくる彼らしい彼にしか作れない作…

「家へ帰ろう」 ★★★★ 4.1

◆「罪を憎んで人を憎まず」人の優しさに触れて赦すことでの過去と自分からの解放、70年かけて叶う想いと癒し、仕立てあげた最後のスーツに暖かく包まれて家へ帰ろう ホロコーストを逃れてアルゼンチンで仕立て屋をしていたユダヤ人の頑固じいさんが、家族か…

「女王陛下のお気に入り」 ★★★★☆ 4.5

◆おばさん(3)ずラブ!? ドロドロ愛なき大奥の世界で やられたらやり返す下克上エクスタシー、うさぎは寂しいと孤独死するのよ「強く儚い者たちごっこ 人は弱いものよ♪」 18世紀初頭イギリスを舞台に最強の女官長サラとそのいとこで新人侍女のアビゲイルが、ア…

「ゴッズ・オウン・カントリー」 ★★★★ 4.2

◆「ブロークバック・マウンテン」から14年、性の高い山を乗り越え自由な平地へ、生と性、自然と愛、出会い惹かれ合い触れ合い、羊たちも祝福する純愛映画のめえーさく イギリスのヨークシャー州の田舎町で牧場を営む青年ジョニーはゲイであり生きづらく無気…

「象は静かに座っている」 ★★★★☆ 4.7

◆像のように静かに座っていた4時間の果てに見つけたものとは・・こぼれ落ちた弱者たちの閉塞感と絶望の長回しは「ここではないどこかで」希望の光は差すのだろうか? フー・ボー監督のデビュー作にして遺作となった234分(3時間54分)の映画、シアタ…

「CLIMAX クライマックス」 ★★★★ 4.4

◆合法的な薬物体験のできる観るドラッグ、取り返しのつかない最高で最悪な後の祭り映画、どんどんドン引き4つ打ちの踊りながら堕ちていく地獄「今夜はブギーバック」 「アレックス」「カノン」「エンター・ザ・ボイド」「ラブ3D」と毎回観る人の神経を逆撫…

「真実」 ★★★★☆ 4.5

◆人生は映画であり自分自身で主人公を演じることが「真実」なのか?、嘘は真実を隠し真実は自分の弱さをさらけ出す、家族だからこそ言えない自分だけの真実の物語・・ 是枝裕和監督のフランス映画、国民的大女優ファビエンヌが自伝本である「真実」を出版、…

「サンセット」 ★★★★ 4.2

◆観ている観客をサンセット・落日させる難解な作品、ハンガリーの歴史を把握しておかないと主人公のうなじを見つめながら黄昏るだけ、兄はいるのか視線は誰のものか? 新しい視点での傑作「サウルの息子」のネメシュ・ラースロー監督の新作、ミステリー調の…

「バジュランギおじさんと、小さな迷子」 ★★★★☆ 4.6

◆正直者がバカを見る現代の大きな迷子たちへ、可愛い天使とおじさんからの「愛」は国境も宗教も歴史も越えて人は分かり合える「信じることさ、必ず最後に愛は勝つ♪」 インドで迷子になった喋れない可愛すぎる女の子シャヒーダーが優しすぎるおじさんパワンと…

「グリーンブック」 ★★★★ 4.1

◆「最強のふたり・相棒もの」良くも悪くも白人視点からの上品で優等生みたいな作品で万人受け間違いなし、もれなくフライドチキンとピザが食べたくなるクリスマス映画 人種差別が色濃く残る1960年代のアメリカ南部を舞台に、上品で真面目な黒人ジャズピアニ…

「ジョーカー」 ★★★★☆ 4.9

◆自分の中のジョーカーを解放させる劇薬、男が階段を降りるとき時代が彼のダンスに魅了される、狂っているのは自分か世界か?主観で見ると喜劇か客観で見ると悲劇か? 問題作「ジョーカー」、ホアキン・フェニックスの演技はもちろんこと、通常のDC映画とは…

「アド・アストラ」 ★★★★ 4.3

◆自分探しとダークサイドに落ちた父を訪ねて43億キロ、2001年宇宙の旅+地獄の黙示録の内省的な哲学SFに「必ず、眠り出す」・・ブラピの表情だけで魅せる演技は圧巻! 海王星からの謎の磁気嵐サージにより滅亡の危機にある人類、16年前に地球外生命体を見つ…

「荒野にて」 ★★★★ 4.0

◆うまのピートはないてる?ないてない!なんてこった!何があっても前に進み続ける、かなり最高♩、こうやって少年から大人になっていく・・うまいい演技は必見! 15歳で親を失った孤独な少年と走れなくなった競走馬とのロードームービー、ベタだけど少年と馬…

「ビール・ストリートの恋人たち」 ★★★★ 4.1

◆もしストリートが話せたら、もし黒人ではなかったら、人間の違いは母親が違うだけ・・ロマンチックな全ての愛の美しさと力強さで理不尽な差別社会を乗り越える ジェームズ・ボールドウィン(「わたしはあなたのニグロではない」も良かった)の原作を、バリ…

「ドッグマン」 ★★★★☆ 4.6

◆ドラえもんのいないのび太とジャイアンの容赦なき行く着く先とは・・犬だけが全てを見ていた・・飼っているのか飼われているのか、現代の支配と服従の構図に牙をむく カンヌ映画祭で主演男優賞(マルチェロ・フォンテ)とパルムドッグ賞(チワワのジョイ)…

「僕たちは希望という名の列車に乗った」 ★★★★☆ 4.7

◆君たちはどう生きるか・・東ドイツ版「今を生きる」、人生は自分で考え選択していくことの連続、それぞれの守りたい信念とは・・ ベルリンの壁建設前夜の東ドイツで、2分間の黙祷を行った高校生たちが国家への反逆者と見なされて追い込まれていく、実話を…

「幸福なラザロ」 ★★★★☆ 4.8

◆現代の浦島太郎・聖人伝説、狼が運ぶ完全なる無垢は現代社会では報われないのか? 新たな寓話的ネオレアリズモの傑作! イタリア中部の隔離された小さな村で、働き者の純朴なラザロと村人たちは、小作制度の廃止を隠蔽する侯爵夫人に騙され労働搾取されてい…

「13回の新月のある年に」 ★★★★☆ 4.7

◆ボーッと生きてる人にはトラウマ必至、人間の絶対的な孤独と絶望のカタチ、愛に生きる殉教者の愛のむきだしを描くファスビンダーの私的懺悔鬱映画 「第三世代」に続けて見たもう一つの問題作、男にも女にも恋人にもなり切れない娼男が自分の居場所、愛を求…

「第三世代」 ★★★★ 4.0

◆ファスビンダーの難解なセリフと映像と音の洪水に溺れていく、「真実は嘘の姿で現れる」ことを見抜けるか? 16年で44本の映画を量産した夭逝のドイツの鬼才、ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー監督作品、早稲田松竹で「13回の新月のある年に」との問題…

「天国でまた会おう」★★★★ 4.1

◆アーティスティックで絵本のような仮面舞踏会への招待、仮面の奥に秘められたものとは?「ya ya ya ya ya ya tear(破る・涙)♪」 戦争で顔の半分を失った金持ちの息子エドゥアールと、同じく戦争で仕事も恋人も失った戦友アルベールが国家を敵に壮大な詐欺…

「ROMA ローマ」★★★★★ 5.0

◆そして家族になる、圧倒的なモノクロ映像美と完成度の高さで、Net配信と映画館の荒波を乗り越える! 大傑作としか言いようがない、早くも今年の暫定一位(バーニングと争う)。確かに商業主義とは程遠いこのアート色満載の地味で私的なテーマは、大手配給会…

人間ドラマ