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2021年 第44回 日本アカデミー賞(予想⇒結果)

 

本家アカデミー賞が4月に延期となり、先に日本アカデミー賞が迫ってきたため、今年もこちらを直前予想しておきます。

 

毎年のことで諦めてはいるが、今年のノミネートも本当にひどい・・相変わらずの東宝東映・松竹、大御所、所属事務所の影響力、テレビ話題・見栄え要員が見え隠れして、忖度対象の人や作品ばかり。

他のまともな映画賞を獲っている独立系の作品は見事に全てスルー、テレビ放映の再編集版や劇場版は選考外という都合の良い時代遅れな理由でヴェネチア銀熊賞の「スパイの妻」、「本気のしるし 劇場版」「37セカンズ」、それに「アンダードッグ」などの作品ノミネート、役者陣もスタッフもゼロという。

投票者・審査員のみなさん、毎年言いますが、来年こそは自社優先ノルマ・しがらみに縛られないで「映画を愛する一人」として投票して下さい。

 

特に今年は東宝と松竹の比率が高すぎで露骨すぎ(東映は昨年「翔んで埼玉」をごり押しし過ぎたため遠慮がち)、最多ノミネートは東宝「罪の声」、松竹「Fukushima 50」でそれぞれ12部門、そして松竹「男はつらいよ10部門と東宝「浅田家!」8部門。その中で独立系の「ミッドナイトスワン」8部門が入っているのは草彅vs二宮の話題性のためか?、ただ昨年も唯一の独立系だった「新聞記者」がまさかの受賞だったので今年も分からない。

恒例の出せば確実ノミネートの大御所枠、昨年の吉永小百合枠と同じく今年は山田洋二枠「男はつらいよ」で健在、お世話になっている松竹のためだろうが自ら辞退・譲れないのだろうなあ(遠い目)。。

 

今年は飛び抜けた作品もなく例年以上にいろんな忖度が働いているので非常に予想しづらい。どれも圧倒的ではなく他の作品の方が良いものが多いので、正直当たっても外れてもどうでもいい感じ。

今年も何の権威もないレコ大並の単なる「日テレ映画祭り」「東宝・松竹祀り」のバラエティ番組(ヤラセあり出来レース)として楽しむことにしよう。ただ、どうしてもコメント解説の坂上忍(今のお前に映画の何が語れると言うのか、寝る間を惜しんで全部鑑賞した自慢とか許せない)だけは不快しかなく、発表直前の個人予想が本当に最悪なので本当に止めて欲しいのだが・・

 

⇒ 結果は今年もまさかの「ミッドナイトスワン」が主演男優賞と2部門受賞、昨年の新聞記者から本当に方向性が変わったと言っていいものなのか?全体観から言うとまだまだ怪しい感じはするが、来年度は予想の仕方を見直さなければとは思う。

いわゆる社会派の作品に舵を寄せてきているのか、本家アカデミー賞の近年の傾向をそのまま受けて俺たちも意識高い系を気取っているだけか、これだけ大手寄りと批判されてきて真剣に変革しようとしているのか、果たして?

結果的には受賞で言えば「Fukushima 50」が6部門受賞と作品賞も獲る流れだったが、敢えて独占するとたたかれるのを避けて、作品賞は逆にネットでは評価の高い「ミッドナイトスワン」に迎合したようにも思えてしまう。

と自分も人のことは言えないけど、今回は予想としてはかなり外れてしまって、15部門中8部門的中という結果でした。正直スタッフ部門がここまで「Fukushima 50」に偏るとは思わなかった。

  

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【作品賞】

自分のベスト10には入ってないものばかりで仕方ないが、作品賞で「朝が来る」が漏れたのは意外。今回はどれも突出したものが無いので難しい、正直「男はつらいよ」は松竹・山田洋二枠なので論外として後の4作品はどれが選ばれてもおかしくないレベル。

「浅田家!」は中野監督らしく笑いあり涙ありで良く出来たキレイな作品で(美談すぎかな)、震災もテーマにしているがインパクト的には少し弱い感じかな。

「ミッドナイトスワン」は独立系だが逆にインパクトは強くてジェンダー風潮もあり、昨年の「新聞記者」のように獲ったら面白いし個人的にも敢えて獲って欲しい。

Fukushima 50」は東日本大震災から10年という節目の年で社会的にも意義深い作品だが、コロナ影響や原子力東京電力の描かれ方などセンシティブな面も強いので選びづらい点もあるのでは(でも昨年は「新聞記者」が獲ったので関係ないか)。

となると消去法で「罪の声」が、練られた脚本・骨太な演出や役者陣など全体的なバランスの良さで一番選びやすい気がする(同じ東宝で「浅田家!」と割れる可能性もあるが)。

 

 「浅田家!」

 「男はつらいよ お帰り寅さん」

◎「罪の声」

△「ミッドナイトスワン」

〇「Fukushima 50」

 

⇒「ミッドナイトスワン」

個人的にはこの中では敢えて獲って欲しいとは願っていたが・・正直まさかの助演男優が渡辺謙が獲った時点で完全に「Fukushima 50」かなと思い、監督賞とスタッフ部門がほぼ独占したので流れ的にも作品賞を獲ると見ていたのでビックリはした。直前に日テレでテレビ放送していて如何にも露骨すぎるのを避けたのもあるかな(前に「カメラを止めるな」も直前に放送して作品賞は無かった)。

草彅くんと服部樹咲ちゃんの演技は素晴らしかったが、個人的には作品としては感動的なドラマチックな展開に乗れず本当のLGBT目線では見れず、日本一かと言われると厳しい気がする、話題性を含めて社会的に注目される意義はあるが。それでも最後の草彅くんのスピーチは個人よりも作品賞を獲れた感動にはグッときた。

  

 

【監督賞】

個人的には河瀨監督にあげたいが作品賞にノミネートされてないので厳しいかな。

中野監督は安定感あり獲っても全然おかしくないが、内田監督は獲るにはまだ早い感じも否めない。

基本的には作品賞とリンクするはずなので土井監督か若松監督か?、土井監督は初ノミネートで最近の「花束みたいな恋をした」も良かったがTBS所属?なので日テレ的にどうか、若松監督は「沈まぬ太陽」で獲れなかった分3度目の正直で可能性も高いが、どちらになるか?

 

△「内田英治」(ミッドナイトスワン)

 「河瀬直美」(朝が来る)

◎「土井裕泰」(罪の声)

 「中野量太」(浅田家!)

〇「若松節朗」(Fukushima 50)

 

 ⇒「若松節朗

作品賞の代わりに監督賞は「Fukushima 50」に獲らせておいた感じか、若松監督は3度目の正直で良かったのではと思う。福島に向けたスピーチを含めて、映画の内容や描き方について現地の方々にはリアルにどう映っているのだろうか・・震災を忘れてはいけないが、まだ終わっていないし、英雄も悪者もいないのでは。

 

 

【主演男優賞】

「アンダードッグ」の森山未來が無視されている時点で終わっているが仕方ない。

草彅剛と二宮和也のジャニーズ対決で注目されていて、二宮は上手かったけど作品・役的に最優秀レベルかと言われると違う気がする。佐藤浩市も演出的にオーバーアクトないつもの佐藤浩市だったし、菅田将暉は過去作に比べると残念ながらこの作品では厳しいはず。

となると小栗旬か草彅剛のどちらか?、小栗旬はいつもの力みを抑えてさり気ない表現で良かったが(話題賞で受賞しているのでこちらは譲る?)、やはりトランスジェンダーの苦悩を全身全霊で成り切った草彅剛が役柄インパクト的にも強いのかな。

 

〇「小栗旬」(罪の声)

◎「草彅剛」(ミッドナイトスワン)

 「佐藤浩市」(Fukushima 50)

 「菅田将暉」(糸)

△「二宮和也」(浅田家!)

 

⇒「草彅剛」

番組的にも雰囲気もお膳立てが出来ていたような感じだけど、素直に報われて良かったねの感想。スピーチもらしい話し方で吾郎ちゃんや慎吾ちゃんの名前も出しつつ、今までのいろんな苦悩を乗り越えた証としての受賞に感動。決して奇跡ではなく軌跡としての結果だと思う。二宮くんも含め周りのみんなも心から祝福していたのが印象的。

 

 

【主演女優賞】

まともな映画賞なら確実で個人的にも一番の水川あさみ「喜劇 愛妻物語」と蒼井優「スパイの妻」が無視されるという信じられない選考。

この中でいけば長澤まさみ一択だろう、両極端な2作品でノミネートというのもあるが汚れ毒親を演じきった「MOTHER マザー」で選ばれるのでは。永作博美の「朝が来る」も役積みでの母親の苦悩を見事に表現していたので獲ってもおかしくはない。

小松菜奈広瀬すずは結果として若手美女枠となってしまいこの作品で選ばれるのは厳しいし、倍賞千恵子は大御所枠で論外(もちろん貢献や演技は素晴らしいが)。

 

 「小松菜奈」(糸)

△「永作博美」(朝が来る)

〇「長澤まさみ」(コンフィデンスマンJP プリンセス編)

◎「長澤まさみ」(MOTHER マザー)

 「倍賞千恵子」(男はつらいよ お帰り 寅さん)

 「広瀬すず」(一度死んでみた)

 

⇒「長澤まさみ

まあ妥当と言うか一択だったし、周り含めみんなも分かっていたはず。挑戦的な役柄と作品で成果を出したのは今後につながるはず、コメディアンヌとしてもいずれ受賞して欲しい。みんなキレイでさすがだったけど、個人的にはすずちゃんの髪型がいまいち合ってなかった気がする(ドラマの役作りだったのかな)。

 

 

助演男優賞

2020年の男優の顔と言えば(何本出たんだ?)宇野祥平で間違いなく個人的にもダントツで、特に「罪の声」での10キロ減量の悲壮感と一気に雰囲気を変えて全てを支配する演技は見事だった、ただ他のメンバーに比べるとマイナー過ぎて華がないのが難点か。

次は成田凌も素晴らしく女性以上の色気と激愛ぶりは誰でも落ちてしまう有無を言わさぬ説得力。妻夫木聡も安定感のあるさり気ない存在感はさすが、星野源も頑張っていたが宇野祥平に持ってかれたのは仕方ない(票が割れる可能性あり)、謙さんはいつもの謙さんで、3人とも突き抜けてはいなかった。

 

◎「宇野祥平」(罪の声)

△「妻夫木聡」(浅田家!)

〇「成田凌」(窮鼠はチーズの夢を見る)

 「星野源」(罪の声)

 「渡辺謙」(Fukushima 50)

 

⇒「渡辺謙

最初の発表だったのでいきなり余りの予想外に草彅くんの第一声と同じく「マジっすか?」、確かに謙さんは素晴らしい俳優でこの作品でも吉田所長に成り切っていたけど、どう考えても今回は宇野祥平成田凌のどちらかだろう。本人も名前呼ばれた時は首をかしげていたようにも見えたので予想外だったのでは。何かの力が働いたとしか思えない、これで完全に「Fukushima 50」が独占するのではと誰もが思ったはず。

 

 

 助演女優賞

助演はいつも酷いが、今回は特に無茶苦茶だな、なんだこれ、何の力が働いたらこうなるのか?、ノミネートされた人には罪はないけど。

普通の感覚ならダントツで「朝が来る」の蒔田彩珠なのだが、なぜか新人賞扱い止まり(子役時代から活躍しているのだが)、「37セカンズ」の渡辺真起子も無視されているし。

この中で敢えて選ぶとしたら、安定感の黒木華ぐらいしかいない・・、むさくるしい男性陣の中で癒してくれた安田成美か、江口のりこ半沢直樹ネタと話題性なのか、今まで選ばれるべき作品はたくさんあったし素晴らしいバイプレイヤーなのに寄りによってこの作品で選ばれるとは不憫でならない。。23年ぶり女優復帰のゴクミはこの状況でわざわざスイスから来日するらしい、ご苦労様です(遠い目)。

 

△「江口のりこ」(事故物件 恐い間取り)

◎「黒木華」(浅田家!)

 「後藤久美子」(男はつらいよ お帰り寅さん)

 「桃井かおり」(一度も撃ってません)

〇「安田成美」(Fukushima 50)

 

⇒「黒木華

まあ、この中では妥当だし安定の上手さだったので納得、華ちゃんは3度目の受賞なのでもっと若手にあげても良かったのでは。助演男優が謙さんだったのでまさか安田成美かとも一瞬思ってしまった、桃井かおりのロス自宅紹介は笑ったが、ゴクミの娘さん泣いた質問への塩対応は笑えず、本気で選ばれたと思っている変わらぬプライド?の高さには苦笑)。

 

 

【アニメーション作品賞】

個人的には京アニヴァイオレット・エヴァーガーデン」に獲って欲しいが、さすがに「鬼滅の刃」の圧倒的興行収入一位のパワーには叶わないだろうな。

「プペル」よりも良いアニメはたくさんあるが、とにかく何よりも駄作中のクソ駄作「ドラえもん2」のノミネートだけは許せない(東宝ここは引こうよ)。

 

〇「劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン

 「映画 えんとつ町のプペル

◎「劇場版「鬼滅の刃」無限列車編」

△「ジョゼと虎と魚たち

×「STAND BY ME ドラえもん2」

 

⇒「劇場版「鬼滅の刃」無限列車編」

さすがにこれしかないか・・

 

【外国作品賞】

スターウォーズ」以外は妥当な選出で、映画館を救ってくれた「TENETテネット」にも獲らせてあげたいが、さすがに「パラサイト」の完成度には叶わないかな。

 

◎『パラサイト  半地下の家族』

 『フォードvsフェラーリ

△『1917  命をかけた伝令』

 『スターウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』

○『TENET  テネット』

  

⇒「パラサイト  半地下の家族」

これも妥当でした。

 

 脚本賞

ここも作品賞とリンクするだろうが、あの膨大な原作を見事にまとめ上げた今もっとも外れなく信頼のおける脚本家・野木亜紀子「罪の声」かな。完全オリジナルの内田英治も可能性はあり。

 

△「内田英治」(ミッドナイトスワン)

 「中野量太、菅野友恵」 (浅田家!)

◎「野木亜紀子」 (罪の声)

〇「前川洋一」(Fukushima 50)

 「山田洋次、朝原雄三」 (男はつらいよ お帰り寅さん)

⇒「野木亜紀子」(罪の声)

結局、「罪の声」はこの脚本賞のみでした。東宝にしては少なかった。

 

 編集賞

◎穂垣順ノ助『罪の声』

○鄭志良『Fukushima 50』

△上野聡一『浅田家!』

 石井厳、石島一秀『男はつらいよ  お帰り寅さん』

 ティナ・バズ、渋谷陽一『朝が来る』 

⇒「石井厳、石島一秀」『男はつらいよ  お帰り寅さん』

男はつらいよ」ここでしたか、まあ過去の場面を上手く切り貼りしていたけど、それは編集賞に値するかは・・

 

 【撮影賞】

◎河瀨直美、月永雄太、榊原直記『朝が来る』

山本英夫『罪の声』

△伊藤麻樹『ミッドナイトスワン』

 近森眞史『男はつらいよ  お帰り寅さん』

 江原祥二『Fukushima 50』

⇒「江原祥二」『Fukushima 50』

まあ、大作なので・・ 結局、「朝が来る」は何も獲れなかったとは・・

 

【照明賞】

◎井上真吾『ミッドナイトスワン」

○太田康裕『朝が来る』

△杉本崇『Fukushima 50」

 小野晃「罪の声」

 土山正人「男はつらいよ  お帰り寅さん」

⇒「杉本崇」『Fukushima 50」

うーん、大作だけど照明は好みでは無かったなあ・・

 

美術賞

◎瀬下幸治『Fukushima 50』

○磯見俊裕、露木恵美子『罪の声』

△倉田智子、吉澤祥子『男はつらいよ  お帰り寅さん』

 黒川通利『浅田家!』

 我妻弘之『ミッドナイトスワン』

⇒「瀬下幸治」『Fukushima 50』

これは現場を含めてよく再現できていたように見えたので納得。

 

【録音賞】

加藤大和『罪の声』

○伊藤裕規『ミッドナイトスワン」

△ロマン・ディムニー、森英司『朝が来る」

 岸田和美『男はつらいよ  お帰り寅さん』

 柴咲憲治、鶴巻仁『Fukushima 50」

⇒「柴咲憲治、鶴巻仁」『Fukushima 50」

まあ、大作なので・・

  

【音楽賞】

「炎」を含め作品を全編に渡り盛り上げた「鬼滅の刃」だろうな。

梶浦由記、椎名豪鬼滅の刃

岩代太郎『Fukushima 50』

亀田誠治『糸』

 佐藤直紀『罪の声』

 山本純ノ介男はつらいよ  お帰り寅さん』

⇒「梶浦由記、椎名豪」『鬼滅の刃

これは妥当でした、誰もが知って口ずさんでいたし・・個人的には「ミッドナイトスワン」の渋谷慶一郎はノミネートぐらいはされていいと思うが。

 

【新人俳優賞】

蒔田彩珠はもちろん、服部樹咲も助演女優賞ノミネートでもいいレベル。しかし毎年必ずジャニーズが入るな。

 

服部樹咲『ミッドナイトスワン』

蒔田彩珠『朝が来る』

森七菜『ラストレター』

岡田健史『望み』『ドクター・デスの遺産-BLACK FILE」「弥生、三月-君を愛した30年-」

奥平大兼『MOTHER マザー』

永瀬廉「弱虫ペダル

 

 

【話題賞

オールナイトニッポンの投票ということで何だかなあ・・ここで小栗旬が選ばれているので、主演男優賞とのダブル受賞は厳しくなった?

作品部門: 「鬼滅の刃

俳優部門: 小栗旬「罪の声」