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年間500本以上観る会社員のありのままのレビュー

「グレタ」 ★★☆ 2.9

◆カバンを届けただけなのに・グレタが見えたら終わり、ターミネーター並に執拗なグレたユペール様がサイコう、むちむちはぐれたクロエとビッチですぐれたエリカ様のほぐれた友情にしゃねる

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イザベル・ユペールクロエ・グレース・モレッツの共演ということで、この2人の演技を見るだけでも価値はあるが、内容的には電車の中で拾ったカバンを親切心で本人に届けたら、その相手がとんでもないサイコストーカー女だったと言う話。

正直、役者を除けば完全にB級ホラーに近く、サスペンスとしてストーカーものとしては近年ありがちの展開で目新しさも無く平凡な出来だが、ユペール様のおかげでホラーと観ればかなり怖い。もはや人間ではなく化け物レベルの粘着度であの手この手でヒロインを追い詰めていく過程が怖すぎで、突き抜けたサイコパスが気持ちよく、あの奇怪なガニ股でのパンスト小躍りはずっと見ていたいくらい。

 

内容も少し薄いせいかハラハラドキドキの迫り来る緊張感が弱く、決して悪い出来ではないのだがいまいちインパクトに欠けるというか・・ユペール様vsクロエの構図がすぐ分かるだけにお決まりの展開で、中盤もダレてしまい最後も何となく読めてしまうのが惜しい、それでもグロさもなく話も分かりやすいので万人受けする作品ではある。

いろいろツッコミどころはあるがお構いなし、安易に一人で出歩いたり、適当な嘘をついて安心しきったり、明らかに何度も現れていて一番怪しいのに接客させたり、あそこまで被害を受けて警察が大して動かなかったり探偵の聞き込みも甘い・・あの傑作「クライング・ゲーム」のニール・ジョーダン監督ということで期待し過ぎたか、ネットフリックスの方が合っていたような気がする。

 

【演出】

CHANELが衣装提供しているらしく、素人目から見ても美しく二人の着こなしや佇まいは絵になっていた。メトロノームとピアノの旋律で恐怖を出すのも良かった。

とにかく「ELLE」や「EVA」で定着したイザベル・ユペールの狂気・サイコっぷりが素晴らしく、こういう怖い悪い女を演じさせたら最狂ではないだろうか。箱を開けた瞬間の顔とか指に注射を打つシーンなど怖さを超えて明らかに笑わせにきていたところも良い。自分をフランス人だと思い込んでるハンガリー女というのも不思議。

クロエちゃんはちょっとぽっちゃりなムチムチ感が堪らなく可愛くて、ぷっくり唇など石原さとみを思わせる。箱に閉じ込められた時のシャツからうっすら下着が見える寝間着姿も最高(最近は「サスペリア」をはじめ拐われてばかりだが)。後半の泣きの入った演技はあのヒット・ガールだったとは思えないほど。

実はクロエちゃんより「ホット・サマー・ナイツ」で「イット・フォローズ」なエリカ様・マイカ・モンローが良かった、最初はモブ的な扱いかと思ってたけど大分キーパーソンで役得だったかも。ニール監督の常連のスティーブン・レイが10分ほどしか出てなかったのは残念だったが。

 

※ここからネタバレ注意 

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【(ネタバレ)ラスト・考察】

最後までサイコパスなままで終わったのは狙いだろうが、これはこれでありだろう。個人的にはやはりサイコパスなりの理由、グレタの孤独や寂しさ、思わず同情してしまうような描写も少しはあった方が良かったかな。エリカが軽いビッチのようで常識的であり機転の効いた活躍を魅せるのは良かったが、クロエのギクシャクしてる父娘関係などあまり効果的に活かされず解決もされないままで終わったのは残念。 

この内容なら完全にバッドエンドにした方が好みだったかも。まあ、落とし物を拾ったら先ずは警察に届けること(直接本人に会わない)、本当の友達は大事にしておくことを教えてぐれたので十分かな。