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「神と共に 第二章:因と縁」 ★★★ 3.2

◆高麗時代劇から千年の時を超えた伏線回収、変わらず雑な展開に因縁をつけたくもなるが、まあ鈍足な使者3人組の絡み合う人間ドラマ

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冒頭に前作のあらすじが入る親切設計、単体でも楽しめなくはないけど、やはり第一章とのセットで完成する作品、壮大なる伏線回収を楽しむなら見ておくべき。前作の方がアクションも多くて家族の話で泣ける要素が強かったけど、今作は人間ドラマに主軸を置いて色々回収されてスッキリした感じ。個人的には勢いや新鮮さはないものの、映画や話としてより完成された今作の方が好みだった。

 

物語の二部構造は相変わらず、前作でもキーマンだった弟スホンが主役かと思いきや狂言回し的な役回りで、使者3人組がメイン。そのスホンとカンニムの地獄巡りチーム、ヘウォンメクとドクチュンの現世チームに別れ(前作と変えているのは良い)、現在の事件を追いながら、各々の過去の記憶が語られていき、やがて両者がつながって驚きの真実が浮かび上がってくる・・前作と同じ巧みな構成で、まさにタイトル通り千年を経て【因が縁】になる物語。

 

現在と並行して少しずつ明かされる3人のストーリー、切り替えのバランスやタイミングも絶妙で、法廷パートが少ない分、高麗時代の大河ドラマパートも良く出来ている。クライマックスに向けた怒涛の展開は、さすがに無理があるなあとは思いつつ、見事に集約・着地させていく(意外な登場人物までつなげていく強引さはある意味凄い)。

 

裁判の審議は今回もグダグダで、何をどう判断して判決を下しているのか、もはやどうでもいい感じ。相変わらず身内や関係者に甘い設定の地獄の特別ルールは何でもありのご都合主義だし、気にする方が負けと思うしかない強引さ。そして、唐突すぎるジュラシックパークの登場など突っ込みどころの多さも相変わらず(ハリウッド並みの映像が出来るぞアピールなのか?とても敵わないけど)。

 

期待のマ・ドンソク兄貴、まさか投資ファンドに手を出して大損こいてる神(座敷童状態)とは・・いつもとは真逆、ビンタされ吹っ飛ばされたり泣きっ面の姿が新鮮だったけど、贅沢な使い方でちょっとアラジンが思い浮かんだ。子供が小学校に行くところや、絵描きが冒頭のパラパラ漫画に巧妙に生かされているところは良かった。

ちなみにオ・ダルスは、セクハラ問題で作品をおろされたらしく、そのせいで彼のシーンは撮り直しとなり、公開が遅れたとのこと。

 

※ここからネタばれ注意 

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【ラスト(ネタばれ)・考察】

結局、第二章は弟スホンの話と思いきや、主人公は使者のカンニムで「神と共に」ということだった。とにかく出てくる人全員が貴人のごとく、過去を悔い改め、許しを求め、償いに奔走する。1000年もの時を超えた宿命、犯した罪の罰として繋がっていた三人、すべてが偶然ではなく因と縁によるものだった。生まれ変わることだけを救いとしていた彼らが、人を助けていく中でちゃんと救われていた。

スホンは、兄ジャホンと違って転生しないルートを選んだので、今後も続投となるのかな?。しかし、冥界のリクルート制度にはビックリ。。閻魔さまも大変だ。個人的には最後にマ・ドンソクと閻魔さまとのバトルも見て見たかったなあ。

 

劇中のセリフが心に染みる、「悪人はいない、悪い状況が悪い人間を生む」「不条理な出来事や裏切りがあった時、物事を逆に考えるんだ」という言葉は胸に刻みたい、人に優しくなれそうだ。

これだけ大ヒットしたし、いくらでもスピンオフが作れそうなキャラクターの豊富さなので、第三章も間違いないだろう(3年後ぐらい)。