◆「Iron Sky Universe」おバカは世界を救う・・まさかのシリーズ化？、地球の空洞に合わせ頭も空洞にして楽しんでツッコんだら負け？、iPhone信者は覚悟せよ！
限りなくＳ級に近いＢ級映画だった前作「アイアン・スカイ」あの月面ナチスの衝撃から７年・・クラウドファンディングで１．５億円集めて、まさかの続編が完成。おバカ映画好きがこんなに多いとはビックリだしTOHOシネマズで上映してるのも凄い。今度は映画史上最凶！ナチスが恐竜に乗って攻めてくる空前絶後のＳＦアクション大作。
前作から３０年後、月面基地に移住した人類が滅亡の危機を脱するために、地球の空洞の中にある未知のエネルギー＜ヴリル・ヤー＞を目指すが（センター・オブ・ジ・アース感）、そこにはヒト型爬虫類化したヒトラーが率いる偉人軍団ヴリル族が待っていた。。前作に引き続き、今作もおバカな事を本気でやっているので、荒唐無稽すぎてついていけない・白けるなど観る人を選ぶので注意（最悪前作を見ていなくてもあらすじを把握しておけば何とか大丈夫）。
今作でヒトラーが率いる偉人軍団にはサッチャー、チンギス・ハーン、ローマ法王、金正恩、ビン・ラディン、マーク・ザッカーバーグなどイジったら普通に怒られそうな人たちばかり。特にスティーブ・ジョブズを崇拝するカルト集団・ジョブズ教が最高で、Ａｐｐｌｅ信者に対しての強気なイジり倒しには爆笑間違いなし。「ジョブズ信者」をディスるネタとして、高い本体価格、自由にカスタマイズ出来ないデザイン、長ったらしい規約、アップル製品から他社に乗り換えた者は「監獄破り（ジェイルブレイク）」と見なされｓｉｒｉによる爆破処刑が慣行される・・など日本に多いｉＰｈｏｎｅ信者はあるあるネタに頷くしかないはず。。
あと、ＳＮＳに流れるネコ動画やポルノは、人類の知能を低下させるザッカーバーグの陰謀なので気をつけろ・・とか存命人物にも容赦なし。
前作はＢ級のバカバカしさやキワドさの中にも、しっかりとメッセージ性が盛り込まれている点が良かったのだが、今作はただネタが楽しいパロディ・ディスりだけで終わっていて脚本が弱いのが残念。せっかく予算が増えてＣＧのビジュアルは良くなっているのに、世界の偉人たちが出てくるのは中盤少しで、それぞれの活躍の場もほとんど無くキャラ立ちも薄いまま退場してしまう。
どうせ映画なら、ジョブズやローマ法王が殺しまくったり、ビン・ラディンや金正日が無残に殺されたり、ゆるい笑いよりも振り切ったバカバカしさや、踏み込んだ風刺ネタやブラックジョークがもっと欲しかった（「オーヴァーロード」の脚本や「武器人間」の狂乱ぶりぐらいあればなあ）。ヒトラーが恐竜の背中に乗っている画はインパクトあって面白い設定なのに、結局全然活かしきれてないし。
でも、クラウドファンディング映画とは思えないほど、アカデミー賞受賞スタジオによるＶＦＸのクオリティの高さや、戦争を皮肉しまくっているオープニング（チャップリンのパロディ？）は良かった。
あと、エンドロールの長さもビックリ、本編９０分に対し１０分以上あって、ゾンビーたち一人一人にあらゆるスタッフ、クラウドファンディング支持者の名前がひたすら流れてきて、この映画を愛する圧倒的な数に感動すら覚えた。
エンディングの歌詞の狙った酷さもあるが、全体的に高橋ヨシキ氏による適当・自分勝手すぎる字幕（翻訳の仕方）の微妙なセンスには苦笑。。
ラストカット、向かっている火星には、見たことのあるマークが・・次回はやはりアノ国か？・・共産主義こそ最強、赤にはアカで対抗か？、さて次回作はいつになることやら、またクラウドファンディングで集めるのはいいけど、出来ればＣＧよりも脚本にもおカネをかけて下さい。。
