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「神と共に 第一章:罪と罰」 ★★★ 3.0

◆韓国版「地獄」「大霊界」「BLEACH」、豪華俳優陣と派手なCGで明快な冥界ファンタジーも、話はザッツ(雑)・エンターテイメント

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人は死ぬと49日間に7つの地獄の裁判を受け、すべて無罪で通った者だけが現世に生まれ変われる・・冥界からの訳アリ使者3人組が子供の命を救って死んだ消防士ジャホンを弁護をしながら、地獄の大王たちの審判を受けていく冥界ファンタジー

あの「新感染」を超える歴史的大ヒット作(韓国歴代3位の観客動員数)だけに、ほぼ9割近くを占める圧倒的なCGで冥界を分かりやすく映像化し、法廷・家族愛・コメディ・アクション・ファンタジーからお涙頂戴の展開までで飽きさせない万人向けのエンターテインメントとなっていた。

特に使者ヘウォンメク、ドクチュン、カンニムのおじさん二人と少女の組み合わせ・キャラクターが魅力的で、主人公ジャホンの貴人(生前徳の高い行いをした人)ぶりと裁判の度に徐々に明かされる過去からラストまで、ジェットコースター並みに振り回される。

安定のハ・ジョンウ(ロングコート・マトリックス・アクション)、護衛の使者チュ・ジフン(3枚目担当?)、天使のようなキム・ヒャンギ、イケメンすぎる閻魔さまのイ・ジョンジェ(裁かれたい?)、久々のオ・ダルスまで、ぜいたく過ぎる豪華キャスト陣も凄い。

 

とにかく、このキャスト陣や荒唐無稽なCGのスケールは大きいが、肝心のストーリーが小さくて雑すぎるのが残念。

地獄裁判では殺人、怠惰、嘘、不義、裏切り、暴力、天倫の7つの罪を、生前の行いを全て秤にかけられて審理されるが、ジャホンは基本的に良い奴すぎるので、罪を問われても嘘ついた理由も優しさからくるものだろうなあと、あまり意外性やドキドキは少なく。もっとエゴな部分も見せないと普通の人は感情移入しにくいのでは(そんなにみんな高貴なふるまいをしているのか?)

肝心の裁判シーンも毎回いったん悪人と見せかけて、その背景にある善エピソードを後出しジャンケンで心変わりと(最初から見せておけよ)、どの判決も同じパターンで判断基準もいい加減すぎて呆れる。

儒教の国・韓国映画らしいドン底の家族の不幸、親思いの息子、兄弟愛といったベタベタで説明しすぎの、最後に向けていかにも泣かせよう的な演出は、個人的にはノれず泣けず。派手なCGも続くと飽きるし緩急がないので途中少し眠くなったし、やはりこの話で2時間20分は長い。

 

原作は大人気のウェブ漫画で、ハリウッド映画にオマージュを捧げながら(比べるといろいろ粗くてB級感はあるけど)、独特のアジアンテイストで6年がかりで映像化したキム・ヨンファ監督。「カンナさん大成功です」も原作が日本のラブコメ漫画で面白かったが、前作「Mr.ゴー」はゴリラのCGが凄いぐらいしか覚えていない。まあ今作も何となく、日本の漫画「BLEACH」っぽさを感じるし、閻魔大王浄玻璃の鏡など日本の仏教や地獄など見慣れたものが多く興味深い。

地獄モノで言えば、1960年・中川信夫監督、1979年・神代辰巳監督、1999年・石井輝男監督の各「地獄」、この御大3作品の暗くてドロドロ・チープなホラー感が大好きなため、今作のド・スケールの美しいCG感とのGAPが激し過ぎた。。

 

【ラスト】

自己を犠牲にして親を最優先で大切にすることは確かに素晴らしいが、親の立場から見ればそれは決して親孝行ではないはず、なので主人公には今度は生まれ変わって自分の好きなように・思うままに人生を生きて欲しい!と誰もが心から願うはず。

エンドロールが終わって、第二章予告のマ・ドンソク兄貴が出てくるのはズルい、絶対に見たくなってしまうじゃないか・・次回は4DXで地獄を体験してみるのもありか。

 

本当の死後の世界は死んだ人間にしか分からないが、この7つの地獄裁判での生まれ変わりが本当にあるのなら、自分はどうなるだろうか・・うーん、ほとんど有罪になりそうだが怠惰の地獄あたりで確定し、でっかい棒に潰される運命か?・・

これからは、常に神?地獄の大王?が見ていることを意識しつつ、清く正しく美しく生きていこうと、誓うのであった・・でも、すべて無罪は無理だろうなあ、人間だもの・・