◆2019年に観た新作の中からワースト映画を選んだので発表していきます(明らかなファン向け少女向けキラキラ映画やB級映画は除く)。
あくまで私個人が合わないと感じた作品なので、みなさんにとっては面白い作品かもしれません。決してその作品やスタッフ・役者を否定しているわけではありませんのでご了承ください。
個人的に「ワーストな作品」だと思うのは、製作陣の熱意を感じない明らかな手抜きや工夫のないもの、映像でなく全て言葉で説明してしまうもの、テレビドラマレベルで映画的でないもの、役者や話題性ありきで儲けのみを狙ったもの、大々的な宣伝や予告編でウソをついて騙したり欺いたもの、総じて観客を低く見てバカにしたようなものです。
■邦画ワースト
【第15位】「閉鎖病棟 -それぞれの朝-」
キャストの演技はみんな本当に素晴らしかったし、描こうとするテーマや内容も良く重いけど考えさせられる映画だと思うが、やはり設定がガバガバ過ぎて現実感が無く入ってこなかった。
どう考えてもセキュリティが甘々で自由に出入りできたり疾患の重い人も同じフロアにいたり、デジカメなど時代考証も色々おかしく、原作で描かれていた彼らの背景や入院理由の大事な所を省いているので、関係性に深堀がなく人間ドラマとして閉鎖的だった。
【第14位】「空母いぶき」
原作の主旨を愚弄した大きな改変、散漫な構成とおっさん臭い陳腐な演出で終始淡々と盛り上がりもなくテンポも悪く、コンビニの平和ボケシーンとか無駄な尺が多く緊迫感に乏しい。
中国を名指し出来ない時点で終わっているが、戦闘シーンも敵軍を忖度し過ぎる戦いで結局最後はいつもの「反戦平和」の平和ボケ他国任せのファンタジーで終わる情けなさ。低予算でCGを減らすため顔のアップと会話シーンが多くリアリティも薄く説得力もなし。
【第13位】「七つの会議」
TBS日曜劇場の池井戸潤オールスター勢ぞろい2時間スペシャルドラマ、いつもの過剰な顔芸と演出の勢いで強引に話を進めていく、ここまで突き抜ければクセの強さも作品の持ち味だとは思うが、やはり映画としては全く評価は出来ず。
出演者の顔芸に次ぐ顔芸でとにかく終始画面が暑苦しく、ひたすら言葉での説明と大袈裟なクサい震えるだけの演技に勧善懲悪のストーリー、王道のワンパターンで展開が読めてしまってカタルシスも弱い。
【第12位】「マスカレード・ホテル」
動悸息切れが酷いフジテレビ王道の2時間スペシャルドラマ、次々に姿を現わす犯人候補のありえない珍客たちは全てがしょぼく演技も大げさ、それぞれのエピソードの絡みもなく似たような人情話が積み重なって途中で息切れして退屈。
重要な説明は映像ではなく会話で示され、最後に犯人がベラベラと動機を語るドラマのお決まりのパターンでミステリーとしての謎解き・トリックもお粗末「ちょ待てよ」だが、長澤まさみには接客されたい。
【第11位】「記憶にございません!」
前作で地の底に落ちた三谷幸喜が無難に当てにいった作品、豪華キャストで安心して見られるし笑える場面もあるので一般受けはいいのだろう。
だが、総理・国会・政務全般の描かれ方、リアリティライン、ギャグセンスも低レベルで何の風刺もウィットも知性も閃きも感じらず全く響いてこなかった。メッセージ性も意外性もなく今回も予想通りの演出と展開に眠気すら感じて内容が「記憶にございません」、才能が枯渇したとは思いたくない。
【第10位】「サムライマラソン」
豪華キャストで外国人監督が時代劇を撮るという不安の中、斬新な撮り方や演出はあるものの話はツッコミどころ満載でテンポも悪く、コメディ要素も中途半端で竹中直人のまま笑わすだけ。
後半からは急にバイオレンスが始まり、バタバタしたまま大きな盛り上がりもなく置き去りにされる感じ。剣心にしか見えない佐藤健も存在感が薄く、終始流れるオーケストラ音楽もメリハリなく全体的に退屈。もっと面白くできたはずなのに勿体ない。
【第9位】「フォルトゥナの瞳」
先の読める展開で正直そのまま予想通り、エピソードや設定が安易過ぎてオチへの展開のため動いていて、誰にも分かりやすく感動させるために作られた感じが嫌。
ファンタジーなのは分かるがツッコミどころ満載過ぎるのと、最初の方でオチに気づいてズルい女にイライラしながら見ていたので純粋な世界には入り込めなかった。初の恋愛ものの神木隆之介と可愛すぎる有村架純のカップルの華やかさと演技で何とか持ちこたえていただけ。
【第8位】「ザ・ファブル」
CM出身監督だけに予告編がクライマックス、全体的にアクションが少ないし無駄な会話や必要のないキャラが多すぎ。肝心のアクションも至って普通で、岡田くんがマスクを被っているので華もなくラストのバトルも含めごちゃごちゃし過ぎて見せ方が下手すぎ。
何よりコメディがクソ、全ての笑わせるポイントが狙いすぎで全然笑えず、オーバーなリアクションもうるさくスベりまくる岡田くんが可哀想で見ていられない、見所は岡田くんの裸のお尻だけ。
【第7位】「麻雀放浪記2020」
白石監督が多作の間に挟む恒例の自由気まま作品、本家とは完全に別物で肝心の麻雀的面白さは無し、世界観からキャラ設定までアホらしさ満載で、遊びすぎフザケけすぎて映画としては酷いレベル。
中途半端な笑いの小ネタが多く全体的にスベり気味でエログロも弱い、個人的にはもっと振り切ってブッ飛んで欲しかった。全編iPhone撮影や社会風刺の盛込も意味は感じられず、見所はハイテンション斎藤工とロボットベッキーぐらいか。。
【第6位】「パラレルワールド・ラブストーリー」
パラレルワールドでもラブストーリーでもない、2つの世界を行き来して時系列をややこしくしているだけで予想通りのオチで”どんでん返し”感はなく拍子抜け、ラストも最悪だった。
ミステリーとしては面白い仕掛けもなくただ伏線を回収して作品設定を作業的に説明されるだけ、ラブストーリーとしてもクズ要素ばかりで感情描写が薄いため全く心に響かず中途半端で結局何を伝えたかったのかも分からず。染谷将太の演技でもっていた。
【第5位】「ダイナー」
蜷川実花の父へのオマージュも兼ねた完全自己満足映画、原色極彩色のビジュアルのみにこだわりオシャレそうに見せてるだけで豪華キャストやスタッフの無駄遣い。
ぺらっぺらの中身なし脚本に意味不明なクドい演出、多種多様な殺し屋の狂った闘いの面白さ・残虐さもなくアクション描写も音楽の使い方も下手。恋愛要素やラストも酷く原作ファンも大激怒でジョン・ウィックに殺されろ!見所は藤原名人の叫び芸と玉城ティナのコスプレだけ。
【第4位】「貞子」
中田秀夫監督で原点回帰するとの淡い期待も虚しく、貞子の髪も肌もキレイだし脚本、演出、役者、映像と全てが安っぽく適当に作られたとしか思えないレベル。
貞子がキャラとして単なるネタになっているのは仕方ないにせよ何よりも全く”怖くない”のが致命的、かと言って笑いにも走っておらず中途半端、ホラーはルールが命なのに貞子や呪いの定義が曖昧でもう何でもありで話にならない。池田エロイザの可愛さ以外は何も無い作品、次作は誰だ?
【第3位】「十二人の死にたい子どもたち」
埼玉よりこっちが史上最大の茶番劇、騙し合いや殺し合いもなく道徳のお時間レベルの話し合いが行われるだけで、ミステリーとしても全然密室でもなく辻褄合わせだけに終始する探偵ごっこレベル。
各キャラの背景や心理描写も薄く本気で死ぬ気も感じられず、自殺や死について軽々しく考え過ぎでラストも含め単なる傷の舐め合いのお粗末さ。何よりウソだらけの宣伝や予告編と豪華キャストのおかげで子供たちを騙してヒットさせた罪は重い。
【第2位】「ドラゴンクエスト ユア・ストーリー」
原作・ゲーム好きの怒りを買うのも納得の想像以上の酷さ、さすが苦手な山崎貴、相変わらず泣かせるためのテイストを重視した展開や下品な音楽の使い方、何よりもあのラストは全ての人を見下してバカにしている。
ストーリーを端折るのは仕方ないにしても、制作陣の原作やファンに対する愛情の無さと古い価値観の押し付けが最悪で、大嫌いな「STAND BY MEドラえもん」と同じことを繰り返す無能さにオリンピック演出が更に心配になる。。
【第1位】「二ノ国」
傑作アニメぞろいの中よく公開できたなレベル、作画のクオリティも低くて表情も死んでいるし、予告編と全く違ったテーマの解釈と矛盾だらけのメタメタな脚本、永野芽郁は好きだけどこの声の演技とキャラとのミスマッチぶりなど全てにおいて酷い出来。
何よりも障害者への向き合い方が本当に最悪で不愉快極まりない、人の生死を含め単なるコマとしての軽々しい扱いでラストの展開もあり得ない、間違ったメッセージとして子供たちに届かないことを祈りたい。
◆別枠扱い:ジャニーズ系、EXILE系、キラキラ系(ファン・中高生向けとしては正しい)
●「トラさん 僕が猫になったワケ」
とりあえずジャニーズにネコの恰好をさせて「愛してるにゃ~」とか言わせておけばファンが喜ぶだろうと言う制作陣の浅はかさ。あまりのうすっぺらな内容に付き合わされる多部ちゃん、そして最後は「愛はカネで解決する」という結論に着ぐるみの違和感を通り越して違った涙が出てきた。。
●「うちの執事が言うことには」
宣伝にある上流階級の陰謀とか全くなく、ミステリーがなんの捻りもなければ大した動機も驚きもなく単なる子供ゲンカレベルで、色彩能力など究極的にどうでもいい話。主演のジャニーズの子たちの演技も見ていられないが逆に面白いとさえ思える、執事役の清原翔がまともで良かった。。
●「少年たち」
ジャニーズJr勢ぞろい、色々とヤバいレベルでぶっ飛んでいてみんなでツッコミ合いながら観るべし。オープニングのワンカットミュージカルはさすがだけど、物語の内容は何を見せられているのか?そのダサい演出と演技力に混乱してきて、全てをぶん投げたようなラストで映画を超えた。
●「PRINCE OF LEGEND」
EXILE勢ぞろいのお祭り映画、20分のドラマ総集編から全てに中身のないストーリーとキャラクターの王子様選手権。ひたすら様々なタイプのイケメンがザ・少女漫画の鉄板展開で甘くアピールしてくるのを愛でるだけ、ヒロインは可愛くてトロフィーワイフ的だが逆に皮肉っているのかも。
●「L・DK ひとつ屋根の下、「スキ」がふたつ。」
前作の剛力彩芽から上白石萌音へ微妙に変えて、中高生向きの現実離れした少女漫画内容に恥ずかしさ全開。
●「4月の君、スピカ。」
設定ガバガバのツッコミどころ満載、福原遥はイカれた役の方が良し、白線流しの天文台と酒井美紀には涙。
あと、まだ観ていないが、おそらく「午前0時、キスしにきてよ」 と「かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~」の2作品は地雷の予感しかしない・・(橋本環奈の可愛さを観るだけかな、予想を裏切って欲しいけど)。
※【2019年 邦画ワースト 一覧】
① 二ノ国 0.5
② ドラゴンクエスト ユア・ストーリー 0.7
③ 十二人の死にたい子どもたち 0.8
④ 貞子 0.9
⑤ ダイナー 1.1
⑥ パラレルワールド・ラブストーリー 1.2
⑦ 麻雀放浪記2020 1.5
⑧ ザ・ファブル 1.8
⑨ フォルトゥナの瞳 2.0
⑩ サムライマラソン 2.0
⑪ 記憶にございません 2.1
⑫ マスカレードホテル 2.2
⑬ 七つの会議 2.3
⑭ 空母いぶき 2.3
⑮ 閉鎖病棟 2.4
(次点)
・ マチネの終わりに 2.5
・ ダンスウィズミー 2.5
・ バースデー・ワンダーランド 2.6
(別枠)一律 1.0
・ トラさん 僕が猫になったワケ 1.0
・ うちの執事が言うことには 1.0
・ 少年たち 1.0
・ PRINCE OF LEGEND 1.0
・ L DK ひとつ屋根の下、「スキ」がふたつ。1.0
・ 4月の君、スピカ。 1.0