映画レビューでやす

年間500本以上観る会社員のありのままのレビュー

「ターミネーター ニュー・フェイト」 ★★★ 3.0

◆ニュー・フェイクな二番煎じ、改変して前作を無かったことにする暗黒の宿命は変わらずサラに劣化していくのか? デデンデンデデン♩、壮大な鬼ごっこイルビーバック 

f:id:yasutai2:20200311192916j:plain

あの傑作「ターミネーター2」の正真正銘の正当な続編(35は興行的・評価的に振るわなかったので無かったことにしたい?)。ジェームズ・キャメロンの製作復帰作にして「シュワちゃん」と「リンダ・ハミルトン」までもが同じ役柄で再登場するという、どのようにして「2」から続く物語に新たな決着をつけるのか?、期待と不安でいっぱいになりながら鑑賞。結果、続編と考えると作った意義や成果はあまり感じられず、単体で考えれば普通にアクション映画としては面白かったレベルだった。

サラ・コナー(リンダ62歳)とT-800シュワちゃん71歳)の登場シーンが熱く、1991年以来28年ぶりの再共演と言うだけでも価値はあり。銃火器をぶっぱなすリンダをはじめ女性ターミネーターなど現代らしく女性がとにかくカッコよく描かれていて、正直かなり年老いたシュワちゃん(機械なのにどう歳をとるのか?)は別にいなくても成り立ったようにも思えた(話題づくりには必要)。

 

お約束の敵のターミネーターの怖さやしつこさも(しょせんT2の二番煎じだけど)なかなかで、息つく間もなく畳みかけてくるアクションはシリーズ最高で手に汗握りっぱなし。ただ、肝心のストーリーが序盤の衝撃の展開からいろいろな改変がいただけなくて、「スカイネット」でもなく別のAIが作った新たなターミネーターだったりツッコミどころも満載。旧キャラを無理に登場させ懐かしさを煽り、新キャラを無難に活躍させて安定はしているが各々中途半端な感じが歪めない(結局3,4の要素も入ってるし)。

壮大な鬼ごっこアクションは、CGが進化したとはいえ、さすがにマンネリ感・既視感は拭いきれず突出したものは無かった・・REV-9T-1000同様にターミネーターらしい何でもありのニュルニュル動きで倒し方が分からない最強感を感じさせてくれたのは良かった(毎回全裸で来るのはお約束でいいのだが服着たまま転送できそうなもの)。

監督は「デッドプール」のティム・ミラーで期待はされたけど、案の定アメリカでは大コケして良い評判も聞かれず、懲りずに次回作があるのかは?だが、こうなったらキャメロン本人が監督するしかないのでは。。

 

※ここからネタバレ注意 

     ↓

     ↓

     ↓

     ↓

     ↓

     ↓

     ↓

     ↓

 

【(ネタバレ)演出・ラスト・コメント】

アクションはさすがティム・ミラー監督らしくCGやスピード感など申し分なし。。超絶アクションと破壊シーンは期待通りではあったが、意外なほど意外性はなしでもっと斬新な戦いが見たかった。

現代的な要素も盛り込んでいて、序盤はメキシコシティを舞台に話が展開し、不法移民やメキシコ国境の警備をテーマにしたのは、やはりトランプ大統領を意識しているのだろう。また、渋い年齢を重ねたリンダ・ハミルトンや手足が長く美しいマッケンジー・デイヴィスなどの強さと頼りがいは女性のMetoo運動も意識しているはず。その分アーノルド・シュワルツェネッガーの存在がかなり縮小されてたのは残念(無理やり感あったし次回はさすがに出ないかな)。

今シリーズは敵の殺人マシーンが圧倒的な力で主人公をひたすら追いつめていくしつこさと、それをどうやって倒すかの攻防の妙が魅力となっている。今作の敵キャラは当然性能はシリーズ最強なのだが、演じるガブリエル・ルナ自体があまり怖く見えないのが残念、T2ロバート・パトリックのような気持ち悪さも欲しかった、その点でもやはり液体金属のT2がピークだったかな。せっかく2体に分かれたり完璧に人間感情のコミュニケーションできる能力が活かされてなかったし。

 

改めて今作を作る目的と意味は何だったのか?、あれだけ必死に守られ生き抜いてきた世界の救世主「ジョン・コナー」のあっけない死、殺さなければいけないストーリーの面白さもなく、これまでの全シリーズを冒頭数分で全否定したことになるだけの意味が分からない。(エドワード・ファーロングはCGで再現してたとはビックリ、ヤク中アル中のイメージを劇中と同じく消したかったのか?)。そのジョンを殺害したターミネーターが使命を果たした後は人間の心を宿し家族まで作って普通に生活しているのも良く分からないし(他にもいるのか?)。

しかも、世界を滅ぼす脅威は「スカイネット」ではなく新たに「リージョン」というAIになっていて、その暴走を食い止める新たな未来の救世主「ダニー」という女性をリージョンが未来から送り込んできたターミネーターから守るという・・まさに見事なまでの二番煎じ。

とにかく過去を改変しまくりが当たり前になり過ぎていてシリーズを通しての重みや深さが全く無くなっていて、ストーリーの"必然性"を一切感じることが出来ない。ジョンが死ぬ理由もリージョンがスカイネットに成り代わる理由も「サラ」や「T-800」がこの物語に関与する理由も明確な意味が無く、過去作との関連性もシリーズを繋ぐ重大な事実が用意されている訳でも無いので、1本の単独アクション作品とした方がまだスッキリするのでは。

結局、「T2」の焼き直しでしかなく、改めて「T2」の傑作ぶりが際立ち「T2」で完成された作品なのだと実感させられた。既に完璧に畳み終えた物語を、無理やり要素を付け足しながら延命させているだけの人気漫画にありがちなパターンに陥っている。ターミネーターも高性能化しきっているし全体的にネタも苦しくなって限界だと思うが、ネームバリューだけ借りて次回作も懲りずに作られるのだろう、トランスフォーマーも懲りずに続編出しているし。シュワちゃんは「I won't be Back」と言っていたが・・